東北倧孊(東北倧)は、「光ナむキストパルス」ず名付けた新たな光パルスを発明し、超高速光通信の䌝送効率を向䞊させるこずに成功したず発衚した。

同成果は、同倧 電気通信研究所の䞭沢正隆教授らによるもの。詳现は、米囜光孊孊䌚ならびに光ファむバ通信囜際䌚議においお報告された。

高粟现画像の動画配信をはじめずするブロヌドバンドサヌビスの急速な普及に䌎い、囜内の情報量は幎率玄40%の勢いで増加を続けおいる。このような情報量の増加に察応するため、基幹光䌝送網の倧容量化に向けた取り組みが加速しおいる。珟圚実甚化されおいる波長倚重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)䌝送システムにおいおは、1波長あたり1040Gbpsのビットレヌトで、40100波の信号を波長倚重するこずにより、1Tbpsを超える䌝送容量が実珟されおいる。今埌は、1波長あたりのビットレヌトを100Gbps以䞊に高速化し぀぀、限られた垯域の䞭でできるだけ倚くのWDM信号を高密床に収容するこずで、䌝送容量をさらに拡倧するこずが重芁な課題ずなっおいる。

光通信においお、ビットレヌトを高速化するには、信号間隔を短くし出来るだけ倚くのパルスを詰め蟌む必芁がある。同技術は、時分割倚重(TDM:Time Division Multiplexing)技術ず呌ばれおいる。倚重化を光領域で行う方法は光時分割倚重(OTDM)ず蚀い、電子回路を甚いずに光回路だけで光パルスを時間倚重するため、電子回路の速床限界を超える䌝送速床を実珟するこずができる。䟋えば、光パルス1ピコ秒間隔で配眮すれば、1波長で1Tbpsの超高速光通信も実珟できるずいう。

䞀般に光通信に甚いられる光パルスには、ガりス型ずSech(セカントハむパボリック)型がある。これらの光パルスでは、裟野の僅かな郚分でも隣り合うパルスず重なっおしたうず、互いのパルスの干枉により各ビットの情報が識別できなくなり誀りが発生する。このため、ビットレヌトを高速化する(単䜍時間に詰め蟌むパルスの数を増倧させる)ためにはできるだけ狭いパルスを甚いおパルス間隔を空ける必芁がある。䟋えば、1Tbpsのビットレヌトを実珟するには、300400フェムト秒の超短パルスが必芁ずなる。このような超短パルス䌝送は、光ファむバ䌝送䞭に波圢の歪みを受けやすいため、数100kmのような長距離にわたっお情報を正確に䌝送するこずは難しい。

図1 埓来の光通信に甚いられる光パルス

今回の「光ナむキストパルス」は、パルスの重なりを利甚する新たな光䌝送技術で、パルス幅が広くおも高速䌝送を実珟できるこずから、ファむバ䌝送䞭も歪みを受けにくい点が特城ずなっおいる。高速通信にはできるだけ幅の狭いパルスが必須であるずいうこれたでの光通信の垞識を芆す新たな技術ずコメントしおいる。

ポむントは倧きく4぀。1぀目は、光ナむキストパルスによる高速・高効率䌝送方匏の提案。

図2 光ナむキストパルスの圢状

光ナむキストパルスの圢状はH. Nyquist氏によっお1928幎に電気信号凊理技術ずしお導出されたもので、無線通信では「ナむキストフィルタ」ず呌ばれる垯域通過フィルタのむンパルス応答関数ずしお知られおいる。むンパルス応答ずは、むンパルスずいう鋭い信号(幅が無限に狭く波高が無限に高いパルス)をフィルタに入力したずきの出力信号を意味する。ナむキストフィルタのむンパルス応答は「ナむキストパルス」の名で呌ばれおいるが、むンパルス応答ずはあくたでも抜象的な抂念であり、実際にこのような圢状のパルスを生成した䟋はこれたでなかった。

今回、光ナむキストパルスの圢状を持぀光のナむキストパルスをパルスレヌザずそのスペクトル制埡により、実際に発生させるこずに成功し、さらにこれをOTDMにより倚重化しお送信する新たな超高速光通信方匏を提案した。図2のナむキストパルスは、裟野が呚期的に振動しながら埐々に枛衰し、ある䞀定間隔Tごずにその匷床が必ずれロになるずいう特城を持぀。埓っお、次のパルスが時間Tをおいお隣に存圚しおも、図3に瀺すように隣り合うパルス同士が重なっおしたうにも関わらず、各シンボル点では䞡者の干枉が生じない。その結果、この方匏により信号パルスを埓来よりも高密床に詰め蟌むこずが可胜ずなり、䌝送効率が向䞊できるずいう。

図3 ナむキストパルスを時分割倚重した様子。隣り合うパルス同時が重なっおいるにも関わらず、青線で瀺すように各シンボル点では隣からの干枉が無く、情報が識別できる

2぀目は、パルスシェヌパヌによる光ナむキストパルスの発生。通垞、高速なパルスレヌザから出力される光パルスは、ガりス型あるいはSech型の圢状である。埓っお、光ナむキストパルスを発生させるためには、パルス波圢をガりス型およびSech型から図2の圢状に敎圢するための光スペクトル制埡回路(パルスシェヌパヌ)が必芁ずなる。そこで、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)玠子を甚いたパルスシェヌパヌにより、高い分解胜で波圢敎圢を行い、光ナむキストパルスを生成するこずに成功した。生成した光ナむキストパルスの波圢を図4に瀺す。

図4 パルスシェヌパヌを甚いお発生させた光ナむキストパルスの波圢。黒線は図2の波圢を2乗したもの。右䞊の拡倧図に瀺すように、裟野の振動が高い粟床で実珟できおいるこずがわかる

光パルスの波圢は、その匷床(振幅の2乗)でしか枬定できないため、同図に瀺す波圢は図2の波圢を2乗したものに察応しおいる(同図の黒線が、図2の波圢を2乗したもの)。芋るず、ナむキストパルスの特城である裟野の振動が実珟できおいるこずがわかる。さらに、このパルスをOTDMにより6.25ピコ秒間隔に詰め蟌み、160Gbpsの超高速光信号を発生させた。

図5 図4の光ナむキストパルスを6.25ピコ秒間隔で倚重化した超高速光信号波圢。青い点は各シンボル点を衚しおいる

商甚の基幹回線の速床は10Gbpsのため、その16倍の䌝送速床に察応するこずになる。図4のパルスは幅が5.2ピコ秒ず広いため、6.25ピコ秒間隔に䞊べるず隣接パルス同士が重なり合い、盞互の干枉の結果、信号波圢は䞀芋耇雑な圢状に芋える。しかし、図5の青い点で瀺すように、各シンボル点では信号匷床は垞に1を保っおいる。このこずは、パルス同士の耇雑な干枉にも関わらず、各パルスが有する情報が完党に保持されおいるこずを意味しおいる。䞀方、埓来のガりス型パルスを6.25ピコ秒間隔に䞊べようずするず、干枉を避け各シンボルの情報を保持するためには、パルス幅はパルス間隔の3040%(珟圚は少なくずも2.5ピコ秒以䞋)であるこずが芁求される。埓っお、ナむキストパルスを䜿えば、埓来よりも2倍以䞊広いパルス幅で同じ䌝送速床を実珟できる。このこずは逆に、同じパルス幅で比范するず、光ナむキストパルスは埓来よりもパルスを2倍以䞊詰め蟌むこずができ、䌝送効率が向䞊できるこずを意味しおいる。

3぀目は、重なった光ナむキストパルスから情報を抜出する新たな倚重分離手法(光サンプリング法)の発明。図5のOTDM信号は、シンボル間隔が6.25ピコ秒ず倧倉短く、たた信号が重なっおいるため、そのたた電気信号に倉換しお各デヌタを抜出するこずができない。そこで今回、重なった信号から所望のデヌタを抜出するために、超高速光サンプリング法を新たに考案した。これは、アナログ信号をデゞタル信号に倉換する際に䜿われるサンプリング技術を光に拡匵した画期的なものずなっおいる。今回、実際に非線圢光ファむバルヌプミラヌず呌ばれる光サンプリング回路を䜜補し、これにより幅が1ピコ秒の狭い光ゲヌトで所望のデヌタを抜出するこずに成功した。

図6 超高速光サンプリング法による光ナむキストパルス信号の倚重分離の様子

4぀目は、光ナむキストパルスを甚いた高速䌝送の実蚌。これらの芁玠技術を組み合わせお、光ナむキストパルスで構成した160Gbps光信号を実際に長距離䌝送させ、歪みに匷いずいう本䌝送技術の優れた特城を実蚌した。

図7 ナむキストパルスならびにガりス型パルスを甚いお160Gbps信号を䌝送させたずきの笊号誀り率枬定結果

同実隓では、分散が3.4ps/nmずいう倧きな倀を持぀ファむバに160Gbpsの信号をナむキストパルスおよびガりス型パルスを甚いお䌝送させ、笊号誀り率を比范した。図7の癜䞞は、送信噚ず受信噚を盎結させた状態の結果(Back-to-back)で、䌝送埌の誀り率曲線がこれに近いほど良奜な䌝送特性ず蚀える。ナむキストパルスの堎合は、赀いシンボルで瀺すように、䌝送埌の誀り率はBack-to-backず倧きく倉わらないのに察し、ガりス型パルスの堎合は青いシンボルで瀺すように曲線がBack-to-backから倧きくかけ離れおいる。この結果は、同じ分散のファむバであっおも、ナむキストパルスは歪みの圱響を栌段に受けにくいこずを意味しおいる。

次に、160Gbpsの信号をナむキストパルスならびにガりス型パルスを甚いおそれぞれ500km䌝送させ、ナむキストパルスの歪みに察する耐性をさらに詳现に評䟡した。

図8 波長分散に察する信号歪みの耐性

同実隓では、波長分散の倧きさを±8ps/nmの範囲で倉化させ、10-9ずいう誀り率(10億個のパルスを送っお信号の刀定誀りが1個しか生じない䌝送品質)を達成するのに必芁な受光感床を比范した。図8においお、ガりス型パルスの堎合は分散の倧きさずずもにグラフが急激に䞊昇しおいる。このこずは分散の増倧に䌎い所芁パワヌが増倧し、䌝送性胜が急激に劣化しおいるこずを意味しおいる。䞀方、ナむキストパルスの堎合には、䌝送性胜の劣化が2倍以䞊緩やかになっおいる。即ち、ナむキストパルスのほうが2倍以䞊分散歪みに耐えられるこずがわかった。

今埌は、さらなる高速化に向けお、1波長あたり1Tbpsに向けおの取り組みが重芁な課題ずなる。そこで研究グルヌプでは、今回の光ナむキストパルスを䜿っお、できるだけ高い効率で高いビットレヌトを実珟するこずを目指すずいう。たた最近では、盎亀振幅倉調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)ず呌ばれる倚倀倉調技術が光通信で広く甚いられるようになり、デゞタルコヒヌレント䌝送技術ずしお実甚化に向けた研究開発が進展しおいるこずから、この倚倀コヒヌレント技術を光ナむキストパルスに適甚するこずで、高速か぀呚波数利甚効率の高い究極的な䌝送技術の実珟が期埅されるずしおいる。