パナソニック代表取締役社長 大坪文雄氏

パナソニックは、三洋電機およびパナソニック電工の完全子会社化後の事業再編案の骨子について明らかにした。10月29日に行われた2010年度上期連結決算の発表の席上、同社の大坪文雄社長が説明した。

冒頭、大坪社長は、「三洋電機およびパナソニック電工に対するTOBは10月6日に完了した。30万人規模の株主を対象にした大規模なTOBとなったが、TOBへの応募が約6割、株式交換が約4割となった。株式と現金を利用したバランスが取れたものとなっているが、予想以上に株式交換が多かったことは、パナソニックの成長戦略、方向性、そして事業再編への取り組みに対する期待の表れといえる」などとした。

同社では、2011年4月1日付けで三洋電機およびパナソニック電工の完全子会社化を完了する予定で、2011年上期中には新事業体制および戦略を発表する予定。「事業再編を前倒しして推進していく考えであり、2012年1月1日付けで新事業体制を発足することで、成長戦略を加速させる。2018年に迎える創業100周年には、エレクトロニクスNo.1の環境革新企業を目指すが、2社の完全子会社化によって、シナジー創出のスピードアップと最大化を目指す」とした。完全子会社化によるシナジー効果として、2012年度に600億円の創出を見込んでおり、そのうち増販で200億円、コスト削減で200億円、構造改革で200億円を見込む。

創業100周年に向けて2社子会社化によるシナジーを加速させていく

完全子会社化および事業再編に向けてのスケジュール

大坪社長が示した事業再編は、従来のデジタルAVCネットワーク、アプライアンス、電工・パナホーム、デバイス、三洋電機という技術プラットフォームをベースとした5つのセグメント体制から、コンシューマー事業部門、ソリューション事業部門、デバイス事業部門という、ビジネスモデル別の3つの事業分野に再編するとともに、これまで16ドメインに分かれていた事業領域を、9ドメインに再編するというものだ。

ドメイン名は仮称とするものの、コンシューマー事業部門では、AVCネットワークス、冷熱アプライアンスの2つのドメイン、ソリューション事業部門では、セキュリティ&コミュニケーションソリューションズ、環境・エナジーソリューションズ、ヘルスケアメディカルソリューションズ、ファクトリーソリューションズの4つのドメイン、デバイス事業部門では、オートモーティブ、デバイス、エナジーデバイスの3つのドメインに再編する。

5つの技術を主体としたセグメント制から3つのビジネスモデルを主体とした事業分野に再編する

16ドメインに分かれていた事業領域を9ドメインに再編

3つの事業分野の下に9のドメインが新たに配置される

社内では、「Transformaionプロジェクト」をスタートしており、すでにプロジェクトの推進役となる成長戦略ワーキンググループを通じて、「グローバル競争を勝ち抜くための成長戦略を策定している段階にある」(大坪社長)という。

成長戦略ワーキンググループは、AVCネットワークス、冷熱アプライアンス、セキュリティ&コミュニケーションソリューションズ、環境・エナジーソリューションズなど、13のサブワーキンググループで構成され、パナソニックと、パナソニック電工、三洋電機の各事業の責任者や、第一線の担当者までが参画。最適な体制へと再編するための議論が行われているという。

今回の事業再編案において、大坪社長は、コンシューマー事業分野においては、2009年度に2兆9,000億円だった売上高を、2012年度には3兆5,000億円に拡大する計画を掲げた。「強いマーケティング力によって各地域のニーズを商品につなぐ」「各地域に最適な商品を最速、最低コストで供給」の2点を目指す姿勢とし、薄型テレビをはじめとするAVCネットワークスと、白物家電などを中心とした冷熱アプライアンスの2つのドメインから世界を視野に入れた事業展開へと大きくシフトする。

「これまでコンシューマーマーケティング機能は、国内/海外といった体制になっており、濃密なコミュニケーションが取れる日本市場で製品の反応を確かめてから、グローバルに展開するという姿があった。これを反省し、グローバルに一元化し、世界のすべてを大きく包んで見ることができる体制へ再編する。この組織のなかには、世界の生活研究を行うグローバル・コンシューマーリサーチセンターも含む計画であり、強い意志をもってグローバルマーケティング体制の一本化に取り組む」などと語った。

コンシューマーブランドについては、PanasonicおよびSANYOの2つのブランドを、「Panasonic」のブランドに一本化する姿勢を改めて明確にした。大坪社長によると、2011年度には、SANYOブランドの製品の生産を縮小し、順次、Panasonicブランドの商品ラインアップを拡大。2012年4月を目標に「Panasonic」に一本化するという。さらに、三洋電機の地域系列店である「スマイるNo.1ショップ」を、「パナソニックショップ」に移行していくという。

コンシューマー事業分野ではグローバルにおけるマーケティング力強化を図る

コンシューマー事業の3つのドメインのそれぞれの方向性

マーケティングは国内/海外と分けずにグローバルで一元化

SANYOブランドは徐々に縮小、Panasonicに統一へ

デバイス事業分野では、2009年度には2兆6,000億円の売上高を2012年度には3兆4,000億円へ拡大させる。「マーケティング・技術一体で顧客の潜在ニーズを先取り提案」「社内用途に依存しない自立した事業とした拡大」といった方向性を掲げ、「3社が持つデバイス事業を3つのドメインに再編。エナジーデバイスでは三洋が持つ太陽電池や二次電池の強みを最大限に活用していく。開発、製造、販売を一元化し、グローバルナンバーワンを追求する」とした。

デバイス事業は3社の事業を3つのドメインに再編

各ドメインの方向性

また、ソリューション事業分野では、2009年度には2兆6,000億円の売上高を2012年度には3兆1,000億円に拡大する計画を掲げる。

「顧客ニーズ/課題を掘り起こし、最適な解決策を提供」「サプライチェーンの幅広い領域から収益をあげる」を目標にし、ビジネス顧客向けソリューションごとに4ドメインに再編。環境・エナジーソリューションズには「まるごと営業」機能を設置し、ビルまるごと、家まるごとの提案を促進する。

「まるごと提案ができるのは、パナソニックが世界で唯一の企業となる。パナソニックグループにしかできない強みを生かしていく」と大坪社長は意気込む。まるごと戦略によって、空間パッケージによる「そろえる価値」、機器連携パッケージによる「つなげる価値」のほか、販売からエンジニアリング、保守、サービスといった「縦軸のバリューチェーンの提供」。ビルまるごと、家まるごとから、スマートシティまでを視野に入れた「まるごとビジネスモデルの創出」を強みにしていくという。すでに埼玉県桶川市において、コンビニエンスストア型のエコ実験店舗を開設しており、「そろえる、つなぐといった価値の見える化することによって、まるごと提案を加速させる場にしたい」と語った。

ソリューション事業は4ドメインに再編

各ドメインの方向性

まるごと戦略の事例 - 埼玉県桶川市のエコ実験店舗

一方、パナソニック、パナソニック電工、三洋電機という3つの本社体制から、パナソニックによる1つのグループ本社に再編。新グループ本社は、戦略機能、R&D機能、ブランド機能、渉外、プロサービスの機能を持ち、「グループ成長戦略の立案および推進のほか、グループのコンピタンス構築や展開、ドメインでは完結できない機能を提供する。さらに、日本や海外の地域統括会社を置き、これらの会社に対して、地域特有の事業創出を支援していくことになる」とした。

新体制によって、「お客様起点の最適なビジネスモデルの構築」「グローバルに自主責任経営を徹底」「ドメイン連携強化、まるごと戦略加速」の3点が実現できるとしている。

3つの本社体制からパナソニックグループ本社1つに再編

合計600億円のシナジー効果をめざす