マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長の五十嵐 光喜氏

マイクロソフトは4日、日本市場でのSQL Server拡販に向けた事業戦略を発表した。SQL Serverは、次期バージョンであるSQL Server 2008が2008年にリリースされる予定。今回の施策は、新バージョン投入に向けた環境整備の一環と位置づけられる。

説明を行なった同社のサーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長の五十嵐 光喜氏は、まず日本でのSQL Serverの出荷実績がSQL Server 7.0の出荷以降年平均成長率20%を維持していることを紹介し、堅調に推移している実績を強調した。今回発表された施策は、この伸び率を更に高め、今後3年間で売上を倍増させることを目指したものだという。また同氏は、今回の施策の中に競合であるOracleを直接名指ししたものが含まれていることに関して、「あくまでも競合と共にデータベース市場を活性化していくための取り組み」だと前置きしつつ、内容を紹介した。

今後3年間でSQL Serverの売り上げ倍増を目指す

今回の施策は、

  • エンタープライズ市場取り組み強化
  • BI市場取り組み強化
  • 次世代業務プラットフォームの獲得

の3つに分かれる。

「エンタープライズ市場取り組み強化」では、「Oracle Masterリクルートキャンペーン」「最大50%販売価格割引キャンペーン」「MCS SQL Serverコンサルタント倍増」「移行支援ツールSSMA for Oracleの無償提供」の4施策が展開される。

Oracle Masterは、Oracleが展開する認定資格制度。本リクルートキャンペーンでは、Oracle Master有資格者を対象とした無償セミナー等を展開することで、「Oracleに加えてSQL Serverの知識も身につけてもらう」ことを狙うという。今会計年度中にOracle Master Bronze/SilverからMCTS(Microsoft Certified Technology Specialist)に800名を、Oracle Master Gold/PlatiumからMCITP(Microsoft Certified IT Professional)に300名をそれぞれ誘導する計画。

割引キャンペーンは、競合他社製データベースおよびBIプラットフォームからの移行に限り、期間限定で最大50%の割引価格を提供するもの。

コンサルタント倍増は、同社内のSQL Server担当の中核となるコンサルタントを現状の60名から120名に倍増し、さらに彼らが有するSQL Server 2005を利用したシステム設計構築ノウハウをガイド化し、パートナー向けに提供することも計画されている。

SSMA for Oracle(SQL Server Migration Assistant for Oracle V3.1)は、OracleデータベースからSQL Server 2005への移行プロセスを自動化するツールで、Windows上のOracleだけでなく、UNIX/Linux上の環境にも対応する。移行自動化の精度はおおよそ80%ほどだという。

エンタープライズ市場取り組み強化で実践する4つの施策

「BI市場取り組み強化」では、Excelを始めとするMicrosoft Officeとの連携でBI機能を提供する取り組みをさらに強化する。五十嵐氏は「Excelを使って何かを考えること自体が既にBIだ」とし、専用ツールを使った大がかりなシステムになる競合製品に対し、SQL Server+Excelという環境がユーザーにとってより使いやすいものであることを強調した。関連して、この環境のデモのために「Data Mining Add-ins体験サービス」が同日付で開始されることも発表されている。

BI市場取り組み強化では、Data Mining Add-ins体験サービスのほか、ラウンドテーブル、無償トレーニング、パートナー支援なども行う

最後に、「次世代業務プラットフォームの獲得」では、次世代の業務環境のプラットフォームとしてSQL Serverを位置づけていくための取り組みだという。五十嵐氏は「10年後に業務の中核を担うのは現在の25歳くらいの世代だが、この世代のITリテラシーはわれわれの世代とは全く異なるため、10後に彼らが使う業務システムも現在とは全く異なるはずだ」と説明。SQL Server 2008では、こうした次世代の業務プラットフォームとしての機能の強化が図られていく予定だ。また、現時点での取り組みとして、仮想化環境に対応したライセンス体系や、SaaSプラットフォームとして利用する際に有利なライセンスが提供されていることなども挙げた。

次世代業務プラットフォーム獲得に向けたビジョン

これらの3分野にわたる施策により、今後3年間でSQL Serverの売上を倍増することが目標だが、さらに五十嵐氏は「世の中をSQL一色にする」という意気込みも明らかにしている。