
答えのない時代を…
『答えのない時代をいかに生き抜くか』─―。本誌『財界』は表紙の上部にこうサブタイトルをつけて、読者の皆様にお届けしている。
米国・イスラエルとイランの間の停戦協定は難航しており、もし破談になった時のことを考えると、それは世界に深刻な影響を与えることになるであろう。
日米首脳会談をどう総括し、イラン情勢をどう読み解くか? 森本 敏・元防衛大臣に聞く!
今回、双方の仲介役を果たしているのは、パキスタンのシャリフ首相だ。パキスタンに加えて、エジプト、トルコあたりも水面下で動いているようで、各国とも、「最悪の事態は避けたい」ということで行動しているのだと思う。
本稿の締め切りの4月22日、米国・イスラエルとイランの双方が「停戦を延長する」と発表。
双方がいきり立ち、「イランが態度を変えなければ、全発電所を攻撃する」と米国側が脅迫すれば、イラン側も、「徹底的に戦う」と一歩も引かない構えで平行線をたどってきた。
肝腎のホルムズ海峡の封鎖で世界経済は大混乱。世界規模でインフレが進む中、これ以上の混乱は防ぎたい─という思いが最後に実ったと見るべきであろう。
特に〝強気一辺倒〟であったトランプ米大統領を踏みとどまらせたのは、〝市場の声〟である。原油相場はハネ上がり、世界1の石油消費国である米国内でもガソリン価格が上昇し、米国民の生活を直撃。
石油は燃料としての用途と、工業用品、医療、生活日用品の原料としての用途がある。特に医療現場からは、ナフサ不足で「医療の安全・安心を担保できない」との声が上がっている。
こうした〝市場の声〟をトランプ氏、そしてイラン側も無視できなかったということだ。
現に、米ニューヨークや東京の株式市場を見ても、停戦と聞いてすぐに反応し、相場はハネ上がった。東京市場は一時的に史上初の日経平均6万円突破となった。
とは言え、先行き不透明感は残る。要は、双方が冷静でい続けられるかどうかである。双方とも、国の指導者、リーダーがどこまで自らを制御できるか、そして国民の声に耳を傾けられるかである。
米国内でも、「No War!(これ以上の戦争は嫌だ!)」の声が上がる。与党・共和党内部にも、トランプ氏の強硬路線に反対する声があるのも事実だ。米国内の秩序も荒れている。
マムダニNY市長の登場
アメリカ最大の都市、そして経済の中心であるニューヨークでは、イスラム教徒のゾーラン・マムダニ氏(1991年生まれの34歳)が今年1月、市長に当選。
マムダニ氏はインド系家庭の出身で、アフリカ・ウガンダで生まれ、7歳の時に米国に移住。昨年の市長選では、家賃上昇の凍結、保育料や市営バスの無料化などを訴えて当選した。ニューヨークでは、家賃が高騰し続け、若者が住めない街と言われるなど、市民の不満も高まる。こうした中で、初のイスラム教徒市長が誕生した。
こうした状況をどう読み解くか─―。国際法を無視し、力づくで相手をねじ伏せるだけでは、状況はさらに悪化する。専制主義・独裁的な指導者にとって、〝頂門の一針〟となるのはやはり〝市場の声〟ということであろう。
その点でも、経済に関わる人たちはもっと情報発信していかねばならない。特に、経済リーダーの担う使命と責任は重い。