経済産業省は4日、有識者を集めて中小企業のIT化支援策を議論する「中小企業IT化推進懇談会」を開いた。参加者からは中小企業が大手企業の電子商取引(EDI)システムを活用する場合のコスト負担の問題や、IT化による効果がすぐには見えづらい場合があることなどが指摘されたほか、SaaS(Software as a Service)やASP(Application Service Provider)の利用推進に向けた普及策などが議論された。

同懇談会は、4月25日に経済諮問会議で決定された「成長力加速プログラム」における中小企業のIT化支援策について、中小企業の代表者やIT企業の経営者らに環境整備策や関係者の連携方法などについて幅広く提案してもらおうと開催された。甘利明経済産業大臣のほか、セールスフォース・ドットコムの宇陀栄次社長、日本コンピュータシステム販売店協会の大塚裕司会長らが参加、予定時間を超える白熱した議論が交わされた。

議論の中心となったのは、急速に普及が進む大企業のEDIシステムを中小企業が利用する際、回線使用料などが大きなコスト負担になっている問題。参加者からは「こうしたコスト負担をいかに減らすかが急務」との意見が出された。また、「企業ごとに帳票システムが異なることから生じる非効率性を改善すべき」との意見や、IT化による効果がすぐには見えづらい場合があることから「多くの活用事例を提示することが必要ではないか」との提言もなされた。

そのほか、「ITが分からなくてもITが利用できる環境整備が重要」「SaaSやASPの利用促進のための啓蒙活動を行うべき」などの意見も出され、同省では、今後こうした意見を基に、中小企業のIT支援策を策定していくとしている。