
日本最大級の中小M&Aのプラットフォームを運営し、「新たな社長づくり」を支援
2020年、広島県のサイダー屋・後藤鉱泉所が事業承継された。オーナーの後継者不在が理由で承継したのは当時44歳の自治体公務員だった男性。今ではドライな甘めの炭酸「マルゴサイダー」はSNSで拡散し、外国人にも人気だ。
両者の仲介役を担ったのが日本最大級の中小M&A・事業承継支援プラットフォーム「BATONZ(バトンズ)」。事業を譲渡したい人と譲り受けたい人のマッチングをネット上で支援しており、18年の設立以降、累計3300組超の成約組数を誇る。M&Aのマッチング後に売り手と買い手の価値観や条件を擦り合わせるところまで密にサポート。3割程度は個人が買い手になっているのも特徴だ。その点では「起業したい人などの新たな社長づくりも支援している」。
「M&Aのマーケットは今後も年間2桁で成長していくと見通している」。M&A仲介会社は他にもあるが、個人が買い手となる数十万円規模のM&Aも支援するケースは採算面から少ない。「アマゾンと日本の小売事業者が共存共栄しているように、当社のプラットフォームも他のM&A仲介会社と共存共栄を目指している」
常時、1万以上の売り案件が掲載され、30万を超える買い手が登録されている理由には、2つ目の事業の柱となっているM&A支援機関の専門業務を効率化するSaaSの存在がある。M&A専門業者や公認会計士、金融機関などがM&Aの際に参照する与信審査や決算3期比較作成などを支援するSaaSで、1950社を超える専門家が利用。「M&A支援機関の方々がバトンズを広めてくれている」のだ。
もともとバトンズは日本M&Aセンターの社内ベンチャーとして出発。一方の神瀬氏は日本ユニシス(現BIPROGY)でエンジニアとして出発。「親族の関係で事業承継は身近なテーマだった」。そんな会社と人物がマッチングされた。今後は人材紹介などM&A周辺ビジネスへの展開も視野に入れる。
休日はジムとサウナに通う。「疲れが取れるんです」と笑顔を交えながら話す。
profile
かみせ・ゆういち:1977年東京都生まれ。2000年早稲田大学理工学部卒業後、日本ユニシス(現BIPROGY)に入社。05年NTT経営研究所。11年リクルートにてリクルートマーケティングパートナーズ執行役員、リクルート住まいカンパニー取締役などを歴任。19年バトンズ取締役CMO、22年から現職。26年4月東証グロース上場。