使いやすさと頑丈さを両立したデタッチャブル構造の登場
タフブックの発売20周年モデルとして開発したのが、2017年5月に発売した「CF-33」である。当初計画の30万台に対して、それを大きく上回る43万台の累計出荷を達成した「CF-31」の後継機種と位置づけられる製品だ。
ノートパソコンとしても、タブレットとしても利用できるデタッチャブル式としたのが特徴で、プラットフォームを大きく変更した製品ともいえる。
従来モデル同様に、120cm落下試験をクリアしているほか、IP65に準拠した防塵防滴性能を実現。MIL-STD-810Gに準拠した耐振動や、マイナス10℃~50℃の耐環境試験もクリアしている。重量は約2760gで、タブレット部のみの重量は1530kg。「CF-31」の本体重量が3720gと、4kg近かったことに比べると、大幅に軽量化していることがわかる。
「CF-31」を現場に導入していた海外の警察、消防、企業などからは、大画面の維持や軽量化の追求に加えて、ノートパソコンとしてだけでなく、画面部分を取り外してタブレットとしても利用したいというニーズが出ていたことに対応。2016年3月に発売した世界初の頑丈デタッチャブルパソコン「CF-20」で培ったノウハウを採用し、保持機構では、ガードによってタブレット部をしっかりと支え、凸凹部でタブレットとキーボードが嵌まる(はまる)構造としたほか、ロック機構は、固定フックを回転させ、2方向からロックする独自の「ダブルフック着脱機構」を採用。パナソニックが特許を持つ同機構の採用によって、使用時は外れにくく、着脱時は外しやすいという特徴を持った「頑丈性」を実現した。
<動画>「CF-33」の説明会にて。高い場所から落下しても頑丈であることを大規模な演出で示してみせた
<動画>マイナス10℃~50℃の耐環境試験もクリアした「CF-33」。氷漬けしても動作している様子をデモンストレーションした
また、デタッチャブル式という仕組みでありながら、軽量化を図れた背景には、液晶パネルサイズを、「CF-31」の13.1型から、「CF-33」では12.0型へ小型化した効果もあるが、ここには、レッツノートで培った軽量化技術を生かしたことが見逃せない。また、同様にレッツノートが持つ省電力技術も活用。大容量バッテリー搭載時には、最大で約25時間の駆動が可能だ。頑丈性と薄型、軽量化、長時間を実現した製品を実現してみせたのだ。
また、兵庫県神戸市の同社神戸工場において、バーコードやシリアルコネクター、USB 2.0ポート、リアカメラ、ワイヤレスWAN、大容量バッテリーなどの内蔵オプションを搭載できるコンフィグサービスを用意したことで、様々な業界の要望や、業務に応じた仕様に変更できる点も特徴のひとつだった。
ちなみに、日本での「CF-33」の発売は、欧米での発売から2カ月遅れの2017年7月となり、製品発表会もそのタイミングに行われたが、これは、2017年4月に、パナソニック コネクティッドソリューションズ社(現パナソニックコネクト)社長に就任した樋口泰行氏にとって、同社入社後、初めての製品発表の場ともなった。
世界で圧倒的なトップシェア、しかし日本では苦戦?
樋口氏は、新卒でパナソニックに入社したが、その後、日本ヒューレット・パッカードの社長、ダイエーの社長、日本マイクロソフトの社長を歴任。パナソニックに「出戻った」ばかりだった。
日本マイクロソフトの社長時代に、タフブックの製品発表にゲストで出席したことがあったものの、「まさか自分がタフブックの発表をするとは思っていなかった」と切り出しながら、「タフブックは、オンリーワン戦略により、他社にはまねができない尖った技術を活用し、尖った製品を作ってきた。お客様の声をしっかりと聞き、現場でどんな使われ方をするのかをきっちりと理解し、そこにこだわって開発をしている。お客様に育ててもらい、お客様によってここまで仕上がった製品である。今回のCF-33も、タフで、尖った製品に仕上がった」と自己評価してみせた。
タフブックは、全世界累計で700万台以上を出荷しており、自動車業界では上位10社中8社、電力会社では10社中9社、ガス会社では10社中7社が採用。消防局では上位30局のうち21局が導入している。
タフブックの地域別の出荷構成比は、米国市場向けが6割強、欧州市場向けが約25%に対し、日本市場向けは10%以下となっており、欧米での導入実績が多い。
その背景には、日本市場では、なかなかタフブックが導入されにくいという環境がある点が見逃せない。最大の理由は、欧米が車社会であるのに対して、日本では電車通勤が多く、タフブックの堅牢性が欲しいと思っても、2kgを超える重量が重たく感じ、導入を見送るというケースが多いという点だ。
また、日本人は、ノートパソコンやタブレットを丁寧に使用する傾向があり、欧米市場ほどの堅牢性を求めず、保守や修理などの現場には、軽量化を重視したレッツノートを導入するケースが多いことも影響している。たとえば、粉を使うパン屋では、パソコンにラップを巻いて使用しているシーンもあったという。本来、タフブックが導入されると最適といえるシーンにも、日本ではレッツノートなどのオフィス向けパソコンが導入されているというわけだ。
現在、タフブックの事業を統括するパナソニック コネクト 執行役員 ヴァイス・プレジデント モバイルソリューションズ事業部マネージングダイレクターの青木秀介氏は、「タフブックの特徴である堅牢ノートパソコンという付加価値が、日本のお客様に対して、的確に届け切れていないという反省がある。30周年の節目にあわせて、日本における堅牢ノートパソコン市場の確立に、改めて力を注いでいきたい」と意気込む。
日本市場を強く意識した2026年度の新世代タフブック
パナソニックでは、タフブックが30周年を迎えた2026年度の新製品として、過酷な現場からオフィスワークまでに対応する14.0型堅牢ノートパソコン「FZ-56」と、タフブックシリーズ最高峰の堅牢性を持つ14.0型堅牢ノートパソコン「FZ-40」の新モデルを発売した。
実は、これらの製品は、欧米だけでなく、日本市場での利用も強く意識しており、作業中に予期せぬ衝撃が加わりやすい車両整備工場、小麦粉などが舞っているお菓子や食品製造の現場、薬剤の粉などが多い製薬工程現場、土埃が舞う建築現場、急な雨や水しぶきが懸念される物流ターミナル、炎天下のスポーツ取材現場、マイナスの温度環境となる冷蔵倉庫といった具体的なシーンでの利用を提案。さらに、電力施設における停電からの復旧作業、深夜の鉄道保守、空港での航空機の点検などの現場での利用も提案する。
<動画>「FZ-56」の防塵テストの様子。小麦粉が舞うパン工場などでも利用できる
そして、こうした具体的な利用シーンをもとに、3つの利用環境に分類してみせる。
それは、オフィス内での利用や相手先での商談などの「屋内」、食品製造や製薬工程、車両保守などで利用する「半屋内」、警察や消防、災害救助の現場などの「屋外」である。とくに、半屋外と屋外がタフブックの効果が発揮できる領域だと位置づけている。
新製品の「FZ-56」は、移動中や不安定な足場での使用を想定して、米国防総省のMIL規格(MIL-STD-810H)に基づいた耐衝撃性を持つほか、独自の判定基準として、26方向からの90cm落下試験や耐振動試験を実施し、その基準をクリア。さらに、微細な粉塵が舞うような現場でも安心して使えるように、IP53の防塵/防滴性能を備えている。
マイナス10℃の極寒地や冷蔵倉庫のなか、50℃に達するような直射日光にさらされる夏季の屋外施設まで、厳しい温度変化に耐えられる耐低温および耐高温設計を採用。手袋を装着したままのタッチ操作も可能にしており、現場での操作性を高めている。また、約1000cd/m2の高輝度液晶パネルにARフィルム(低反射処理)を採用し、太陽光が降り注ぐ現場や、画面が見えにくい環境でも高い視認性を確保している。そして、標準搭載の大容量バッテリーでは、約13.5時間の連続駆動ができ、オプションのセカンドバッテリーを装着すると、最大で約27時間の動画再生駆動を実現する。電源が確保できない屋外や長時間にわたる現場作業でも、長時間の連続使用が可能になる。昨今では、現場でもビデオ会議を行う用途が増加しており、屋外での会議の際の音質にもこだわり、新たにノイズキャンセリング機能も搭載している。
さらに、用途に合わせて機能をカスタマイズできる3つの拡張エリアを持っており、2.5Gbps LANやDVDマルチドライブなど、現場独自のニーズに合わせたインターフェイスを搭載できる。CPUには、インテル Core Ultra 5プロセッサー シリーズ2を搭載。タフブックシリーズとして初めてディスクリートGPUを搭載したモデルをラインアップしており、現場では3D CADやBIMデータを現場で直接確認することも可能だ。
一方で、「FZ-40」は、圧倒的な耐衝撃性能を実現しているのが特徴だ。180cmの高さから、26方向での落下に耐える堅牢性を持っており、IP66準拠の防塵/防滴設計を採用。視界を遮るほどの砂塵が舞う現場や、激しい風雨にさらされる屋外でも安定稼働ができるという。また、マイナス10℃~50℃までの広範な動作温度に対応。大容量バッテリーで約13時間の稼働時間を持ち、セカンドバッテリー装着時には、最大約26時間の利用が可能となっている。CPUには、インテル Core Ultra 5プロセッサー シリーズ2を搭載しており、高度な処理能力によって、現場におけるデータ解析などにも威力を発揮。14.0型ディスプレイは、約1,200cd/m2の高輝度液晶を採用。ARフィルムを使用している。
このようにタフブックの堅牢性を、さらに一段、引き上げといってもいい。
タフブックの最新モデルが、2026年10月から発売するデタッチャブル式の堅牢2in1パソコン「FZ-34」である。
タフブックとしては、初めてCopilot+ PCに対応したパソコンであり、現場業務におけるAI活用を可能にし、新たな形で、現場の生産性向上に貢献できる。
もちろん、堅牢性も進化させている。タブレットの状態では、180cmからの落下試験を実施。IP65規格適合(タブレットの状態ではIP66規格適合)しており、粉塵が舞い、水しぶきが避けられない製造ライン、建設やインフラ関連などの現場でも安心して使うことができる。
キーボード部を取り外して、堅牢タブレットとして、現場での写真撮影や図面確認に活用できるほか、事務所では堅牢ノートパソコンとして入力作業にも対応。「現場と事務所でタブレットとパソコンを使い分けていた運用を1台に集約できる」という。
さらに、バッテリーを2個搭載することができ、電源を切らずにバッテリー交換が可能なホットスワップに対応。充電劣化に強いパウチセルバッテリーをタフブックで初めて搭載しており、長期使用時でも安定したバッテリー性能を維持することができるという。
同社では、「FZ-34を通じて、日本を支える現場の課題と向き合い、『現場をもっとタフに』することで、企業の競争力と日本の未来を支え続ける」としている。
止まることのない「現場を止めないパソコン」への進化
ちなみに、タフブックの第1号機は、1996年9月に米国で発表した。そして、日本では、「PRONOTE FG」として、1996年10月20日に市場投入しており、いまが、ちょうど発売30年の節目を迎えるタイミングとなっている。
3945 現在のタフブックの主要製品ラインアップ
30年目を迎えたタフブックは、過酷な現場や厳しい環境にも耐え、「現場を止めない」パソコンとして、独自の進化を遂げてきた。これは競合他社が追随できない領域のノートパソコンともいえ、堅牢ノートパソコン市場において、24年連続で世界シェアNo.1を維持していることからもそれが証明される。
そして、タフブックは、これからも、この進化を止めるつもりはない。






