TrendForceによると、2021年第1四半期のNAND市場は前四半期比5.1%増の148億2000万ドルだったという。ビット出荷数量は同11%増と伸長したが、全体の平均販売価格は同5%減と下がり、ビット出荷数量の伸びを価格下落が相殺する形になったという。

ノートパソコンやスマートフォン(スマホ)の顧客におけるNAND需要は依然として高いものの、データセンター分野の顧客は、NANDの供給過剰の状態から抜け出していないため、比較的需要が低調で、同四半期の契約価格は、依然として 前四半期比で低下している。一方、最終製品のOEM/ODMは、1月後半からNAND製品の調達を増やし始め、追加注文を出したこともあり、NAND市場全体の需要は2021年第1四半期の予想を上回った。

第2四半期もプラス成長見込み、ただしドライバIC不足解消が鍵

2021年第2四半期は、供給不足からNAND製品のメインストリームカテゴリの相場が上昇する見通しだという。また、供給側では、NANDコントローラICの不足が悪化し、最終的なストレージ製品の生産に影響を与えている。需要側では、データセンターセグメントのクライアントとエンタープライズサーバーのOEMがコンポーネントの調達を強化しており、こうした価格上昇とビット出荷数量の増加により、第2四半期のNAND市場は前四半期比でプラス成長になるとTrendForceは予測している。ただし、長期的にコントローラICの不足が続くと、NANDウェハの価格の下落から始まり、最終的にはNAND市場の成長を阻害する可能性もあるとしている。

  • TrendForce

    自社ブランドNANDサプライヤの2021年第1四半期売上高ランキング。キオクシアの売上高には買収したLite-OnのSSDの売り上げを含む。Intelの売上には、同社の方針によりOptane SSDの売り上げは含まない (出所:TrendForce)

各社ともに業績は好調

Samsung Electronicsの2021年第1四半期のNANDビット出荷数量は、前四半期比で12%近く増加したが、平均販売価格が同5%減となった結果、同社の売上高は同7.0%増の49億7000万ドルとなったという。市場シェア2位のキオクシアもビット出荷数量が同5%増となったものの、平均販売価格が約7%減となり、売上高は同1.0%減の27億8000万ドルにとどまったという。また、キオクシアのパートナーであるWestern Digitalは、同四半期にビット出荷数量が同8%増となった一方で、平均販売価格が同2%減となった結果、売上高は同6.9%増の21億8000万ドルとなった。

3大メモリメーカーの1社であるSK Hynixは、中国スマホメーカーからの需要の後押しを受け、ビット出荷数量が同21%増と高い伸びを示した。一方で、平均販売価格が同7%減となった結果、売上高は同11.5%増の18億3000万ドルになったという。また、同じく3大メモリメーカーの1社であるMicron Technologyの2021年度第2四半期(2020年12月~2021年3月4日)の業績は、ビット出荷数量が前四半期比で10%近く伸びた一方、平均販売価格は同約3%減となった結果、同4.8%増の16億5000万ドルとなった。

そしてIntelだが、同四半期におけるビット出荷数量は同10%以上の増加となったものの、平均販売価格は同約4%減となり、売上高も同8.4%減の11億1000万ドルとなった。ただし、同社のこの数値は、同四半期よりOptane SSDおよび3D XPoint製品が含まれないことになった(SK HynixへのNAND事業売却の対象外)ためで、純粋なNAND製品のみを取り出した前四半期比での売上高は同9.7%増となるとしている。