AGCは7月28日、イタリアの子会社AGC Biologics Italyを通じて実施していた、伊Molecular Medicine(MolMed)に対する株式公開買付(TOB)が7月24日(イタリア時間)に終了し、公開買付対象株式の93.23%を取得したことを明らかにした。

今回の買収で支払われる株式対価の支払いは7月31日を予定しており、それを経てMolMedはAGCグループの子会社となり、その後の追加買い付け期間を経て、ミラノ証券取引所に上場しているMolMedは上場廃止となる予定だという。

MolMedは、自社の創薬を起点に、細胞加工・ベクター製造などのプラットフォーム技術を確立することで、大手製薬やバイオテック企業に対して、GMP対応の遺伝子・細胞治療薬CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)サービスを提供してきた。一方AGCはライフサイエンス事業の強化を進めており、2025年に1000億円以上の売り上げを目指している。

現在の同事業の主要サービスは合成医農薬のCDMO、バイオ医薬品CDMO、そしてファインシリカとなっているが、ここに新たに遺伝子細胞治療薬CDMOが加わることとなる。遺伝子細胞治療薬分野は2019年~2024年の年平均成長率(CAGR)として55.4%と急速に成長することが見込まれており、今回の買収を機に、成長分野である遺伝子細胞治療薬分野に進出することで、事業の拡大を目指すとしている。

AGCでは、AGC Biologicsがすでに日米欧の世界三極で、動物細胞と微生物を用いたCDMOサービスを提供しており、独ハイデルベルグ工場において、遺伝子・細胞治療薬の原料であるプラスミドの製造受託を事業化していることから、MolMedともシナジーを発揮することが期待できるとしているほか、MolMedの高品質な遺伝子・細胞治療薬CDMOサービスをAGC Biologicsのグローバルネットワークに組み入れることで、より大きな事業成長を目指すとしている。

  • MolMed

    イタリア・ミラノにあるMolMedの拠点