富士フイルムは4月15日、同社子会社の富士フイルム富山化学にて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けに抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)の生産体制を拡大し、増産を開始したことを発表した。

アビガンは日本発のインフルエンザ治療薬で、ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを有していることから、インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待されており、すでに臨床研究や観察研究の枠組みの中で複数の新型コロナウイルス感染患者に向けた投与も行われている。

また、海外での臨床研究も進められているほか、日本政府も緊急経済対策の1つとしてアビガンの備蓄量を200万人分まで拡大することを決定。こうした背景から、富士フイルムでは、グループ会社である富士フイルム和光純薬にて医薬品中間体の生産設備の増強を進めてこいたほか、国内外の原料メーカーや各生産工程における協力会社などとの連携を図ることでアビガンの増産を進めてきたという。

なお同社では今後、段階的に生産能力を向上させていく予定で、2020年7月に月産で3月上旬の生産量と比べて約2.5倍となる約10万人分、同9月には同約7倍の約30万人分の生産体制の構築を目指すとしているほか、アビガンの原薬製造設備の増強も進めることで生産能力のさらなる拡大を図ることで、日本政府の進める備蓄量の増加や諸外国からの提供要請に対応していく計画としている。