KDDIとテラドローン、セコムは3月19日、1月27日に福島県南相馬市の沿岸部および周辺の広域施設において、複数のドローンを連携させた警備の実証試験を実施したと発表した。なお、実証実験はドローンの警備用途における社会実装を目的に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(DRESSプロジェクト)」における「警備業務に対応した運航管理機能の研究開発」を通して研究開発を進めた運航管理システムを活用して実施した。

  • 左からドローン運航管理の様子、巡回運航するスマートドローン

    左からドローン運航管理の様子、巡回運航するスマートドローン

実証実験では、全国をカバーするauのモバイル通信ネットワーク(4G LTE)に対応したスマートドローンを活用し、遠隔からの複数ドローンの制御や多拠点への映像配信、緊急時の急行指示などの運航管理が可能なことを確認した。

具体的には「広域施設における警備ドローンの運航管理」「災害発生などの緊急時における沿岸監視」「複数事業者ドローン運航時の衝突防止に向けた検証」を実施した。

広域施設における警備ドローンの運航管理では3台のドローンを運用し、広域施設内に設けた仮設の警備室からドローンの運航管理を行い、広大な施設の敷地境界周辺の巡回・俯瞰警備ができることを確認。

災害発生などの緊急時における沿岸監視については地震により津波が発生し、南相馬市から広域施設の運営者に沿岸部の状況確認を要請した想定で実証実験を実施。広域施設内を巡回していたドローンのルートを変更して沿岸部に急行し、逃げ遅れた人がいないか確認したほか、6km離れた市役所庁舎からも沿岸部の状況が把握できることを確認した。

  • 実証実験のイメージ

    実証実験のイメージ

複数事業者ドローン運航時の衝突防止に向けた検証に関しては宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で他の事業者が運航するドローンとの衝突防止に関する検証も実施。JAXAはDRESSプロジェクトにおいて運航管理システムの全体設計を担当し、複数事業者が空域を安全かつ効率的に利用するための運航ルールなどを検討しており、実証実験ではJAXAが開発した運航管理シミュレータで他の事業者によるドローンの運航を模擬し、運航管理システム間の情報共有にもとづく飛行計画の調整や飛行中の操作により相互の接近・衝突を防止できることを確認した。

  • JAXAのシミュレーション画面

    JAXAのシミュレーション画面

一方、運航管理システムは4G LTEを活用し、遠隔からドローンの制御や多拠点への映像配信を可能とし、アプリケーション上でドローンの運航ルートの作成、遠隔飛行指示、飛行中の運航状況、およびリアルタイムでの配信映像の確認ができる。

  • システムの全体構成

    システムの全体構成

例えば、警備業務での活用を想定した場合、遠隔の警備室からドローンの飛行開始指示やドローン警備映像の遠隔複数拠点での監視が実現できることに加え、4G LTEを活用した映像伝送、機体制御を行うためドローンの操縦者の持つプロポ(送信機)から電波が届かないような広域の警備や、KDDI総合研究所のAI技術を用いた人物検知も可能としている。