KDDI、東海大学、エア・カメラ、熊本県阿蘇郡南阿蘇村は12月13日、ドローンエンジニアチームであるAgridの協力を受け、同6日~13日の間、道の駅 あそ望の郷くぎのにおいて、第5世代移動通信システム「5G」を活用して、2機のドローンに搭載した360度カメラの映像をVRゴーグルにリアルタイムに伝送し、南阿蘇地域の観光スポットをドローン視点で自由に飛行体験する新しい観光サービスの実証試験を実施したと明らかにした。また、試験ではドローンに搭載した4Kカメラの高精細映像を5Gで伝送し、その映像を見ながらリアルタイムにドローンを制御する実験を実施。なお、試験は総務省の5G総合実証試験の一環として実施した。
南阿蘇地域は、阿蘇山や絶滅危惧種であるハナシノブなどの群生地、熊本地震の被害を受けた東海大学校舎をはじめとする震災遺構など、貴重な観光資源を多数有している一方で、火口付近のガス濃度や火山活動の状況で不定期に入山が規制される阿蘇山や崩落の危険などがある震災遺構は、観光客が容易に立ち入ることができず、南阿蘇の魅力を十分に伝えることができないなどの課題があるという。
試験では道の駅 あそ望の郷くぎのに5Gエリアを構築し「2機の5Gドローンを活用した360度のライブ映像伝送によるVR観光」「4K高精細映像を活用した5Gドローンのリアルタイム制御」を実施。
VR観光では、ドローンに搭載した360度カメラで撮影した阿蘇山の全景をVRゴーグルを装着した体験者にリアルタイムに配信することで、阿蘇の景色を眺望するドローン視点での観光体験を検証したほか、ドローン視点のライブ映像をVR観光ポータルとして活用し、事前に撮影した南阿蘇のさまざまな観光地や震災遺構のVR映像を体験者が自由に切り替えて楽しめるVR阿蘇観光体験を検証した。
リアルタイム制御については、道の駅上空の5Gエリアを飛行するドローンに、4Kカメラと低遅延コーデックを搭載し、ドローン前方の4K高精細映像を地上に設置したモニターに低遅延で伝送し、その映像を見ながらリアルタイムにドローンを制御できることを確認。4K高精細映像を地上で見ながら、繊細なドローン制御が可能となることを確認。低遅延の4K高精細映像を見ながら機体の制御が可能となることで、空を自由に飛び回る飛行体験による地域の観光振興への活用に加え、災害現場の迅速な状況把握など、防災・減災への貢献が期待されるという。
各者の役割として、KDDIは試験の実施・推進、5Gエリアの設計・構築、および映像伝送システムの構築を、東海大学は試験の実施アイデア提案を、エア・カメは観光スポットのVR映像制作、360度カメラ搭載ドローンの操縦、VR観光システム・5Gドローンの制御システムの提案・構築を、南阿蘇村は試験の実施場所の提供を、Agridは4Kカメラ搭載ドローンの操縦、VR観光システム・5Gドローンの制御システムの構築をそれぞれ手がけた。