砂糖(ショ糖)の取り過ぎがメタボリックシンドローム(メタボ)につながるメカニズムが分かった。砂糖を取り過ぎると肝臓の脂質代謝のリズムが乱れて中性脂肪を蓄積しやすくなることを名古屋大学の研究グループが明らかにした。研究成果は9月3日付の米国生化学分子生物学誌に掲載された。メタボの予防対策につながる成果として注目される。

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    砂糖の取り過ぎがメタボリックシンドロームにつながる関係の概念図(名古屋大学/名古屋大学の研究グループ提供)

メタボは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の前段階である「未病状態」だ。健康診断などで診断基準に照らしてメタボと診断されると医師らから生活習慣の改善指導が行われる。これまで、メタボは食べ過ぎや運動不足などが主な要因と考えられてきたが、最近では砂糖の取り過ぎが主要因の1つであることが判明。世界保健機関(WHO)は1日の砂糖の摂取量を摂取エネルギー総量の5%未満にするよう指針を出している。

名古屋大学大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授らの研究グループは、ラットの実験で、砂糖の取り過ぎによる脂質代謝異常のメカニズムを遺伝子レベルの分析を含めて詳しく調べた。その結果、砂糖を取り過ぎると、一日の中で休息期と活動期で異なるリズムを示す脂質合成の振幅が増大し、脂質合成が促進されることが分かった。この作用は砂糖を構成する果糖によるものであることも突き止めたという。

脂質合成が過度に促進されると肝臓や血中に中性脂肪がたまる。肝臓に中性脂肪が過分に蓄積すると脂肪肝になる。この脂肪肝が進行すると非アルコール性の脂肪性肝炎になり、さらに進行すると肝硬変などに移行する可能性が指摘されている。

小田准教授らは「デザートは別腹と言うように甘味には特別な魅力がある。砂糖の取り過ぎがなぜメタボの原因になるか、今回その一端が明らかになったことでメタボの予防に役立つと期待される」としている。

小田准教授らの研究グループは、砂糖を取るにしても活動時間帯に限った方が肝臓や血中の脂肪量が抑えられる、とする研究成果を昨年8月に発表している。

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