中国清華紫光集団傘下のフラッシュメモリメーカーYangtze Memory Technology(YMTC:長江存儲)が2019年内に64層の3D NANDの量産を当初の計画通りに実施する準備が整ったと海外の複数のメディアが伝えている。

例えば台Digitimes 電子版は3月26日付で、「YMTCが64層の3D NANDを製造することが市場での企業合併をさらに促進する可能性がある」と指摘しているほか、こうした報道に対し、米Micron TechnologyのEVPであるSumit Sadana氏も「これにより同業者が弾き飛ばされることはないだろうが、合併しなければ生き残れなくなるかどうかは今のところ分からない」とのコメントを寄せている。

YMTCは、64層3D NAND製品に独自開発のXtacking構造を採用し、ライバルと差異化を図る見込みである。すでに2018年より中国の一部のIT企業に64層製品のサンプル出荷を行っており、2019年内の量産開始を予定していた

  • YMTCの64層3D NANDフラッシュメモリ

    YMTCの64層3D NANDフラッシュメモリに採用される同社独自のXtacking構造。メモレイアレイ(左下)と周辺CMOS回路(左上)を別々に製造してから張り合わせる(右) (出所:YMTC Webサイト)

NAND業界の関係者によると、YMTCのNAND製品の製造歩留まりは、先端企業から見ればまだまだ低いようだが、もしも64層製品を年内に量産できるならば、技術格差は2年程度に縮まることになるだろうとしている。ちなみに、YMTCは、早急にトップグループに追い付くために今後96層NAND製品の開発をスキップして128層開発へ移行する方針を立てているという。

YMTC CEOのSimon Yang氏は、2018年12月に東京で講演した際、「(米国の技術に頼らずに)独自技術で開発しているので、(中JHICCのような)米中貿易摩擦の影響は受けずに済んでおり、量産計画に変更はない」と述べていたほか、「(国外の人々が危惧するような)採算を度外視したビジネスで市場をかく乱するようなことはしない」とも述べている。