産業界に広がる新生CEATEC JAPANの方向性

--そういった意味では、2015年までの出展者と2016年以降の出展者では、顔ぶれが大きく変わってきているのは見た目で明らかですし、展示される内容も変わってきている印象が強くあります。

鹿野氏:2016年は、テーマが先行していた感が否めませんでしたが、今年は、テーマと中身の歩調が伴ってきたと思っています。そのため、2019年以降は、テーマよりも実質的な部分が伸びていくと期待してます。

参加する企業が属する産業界も、今年はIT・エレクトロニクス産業以外に10まで拡大しましたが、2019年はさらにその分野も広がっていくと思います。単に産業分野の数が増えれば良いのか、というわけではありません。なぜ増えるのか、という部分にこそ、重要な意味があると思っています。IoT技術が誰でも使えるようになってきた結果、そうした出展者たちは、来場者に対して、ベネフィットを提供できる自信が出てきて、それを実際に見せて、理解してもらおうという想いがあって、出展を決めているのだと思います。

  • IoTタウンの概要

    主催者企画のIoTタウンにはさまざまな産業分野の企業が出展する

例えば、これまでのCEATEC JAPANには「スマートホーム」というエリアがありましたが、来場者からは、スマートホームとは何か?、という声もありました。これをCEATEC JAPAN 2018ではLIXILが、スマートホームとはこういうものだ、という姿を具現化してくれる予定のほか、ダイキン工業も家庭にどれくらいのインパクトを与えるのか、を考えた出展をしてくれる。今年初出展となるローソンもさまざまな取り組みを見せてくれる予定ですが、これらは必ずしも明日から市場に提供されるとは限りません。

  • IoTタウンに出展する企業・機関の一覧

    IoTタウンに出展する企業・機関の一覧。従来コンセプトでは、参加が考えられない企業の名前などが名を連ねている

そうした意味では、来場者が未来に対する夢を見れることが大切だと思っています。確かに、前身のエレクトロニクスショー(エレショー)の時代から、テレビの映りがきれいになったりといった違う意味での夢が見れていたとは思いますが、夢の中身が変わってきたからです。そうした夢を見せつつ、増え続ける社会課題に対しても、新たな光を差し込めればな、とも思っています。

--今年は、かつて出展していたが、一時期、出展を取りやめていた企業の復活、といった姿も見られるようになりました。これは、出展者側も、どういう展示が求められているかが、見えてきたからということでしょうか

鹿野氏:例えば、京セラは2016年、2017年と出展を見送っていましたが、今年、再び出展をしてくれることとなりました。

変革を始めて3年目というのは、ある意味、自分たちCEATEC JAPANというものの立ち位置を確認する年でもあると認識しています。次の3年間では、新たな出展者を増やしていきたい、という想いとともに、長年出展してきてくれた多くの企業が、そうして変革を遂げようとしているCEATEC JAPANにあっても継続して出展し続けてくれる、という両輪が必要だと思っています。

しかし、この数年の間に、新たな産業分野の企業にお声掛けする一方で、部品メーカーや家電メーカーの中には、出展してもマッチしない、という思いを持たれるところがでてきたのも事実です。そうした方たちからは、どこがずれているから、変えていかないと、といったこともヒアリングしており、次の3年で、そうした既存の出展者たちの意識を合わせていければ、という思いもあります。

上述した京セラとも、エグゼクティブプロデューサーに着任した2017年以降、挨拶に行く回数を増やし、そのたびに、CEATEC JAPANがどのようにアップデートしているのかという内容をお伝えさせていただく中で、社内でも議論をしていただいて、その結果、出展を決定していただきました。そうした経緯があり、今後も、同じようなタイミングで、本来であればCEATEC JAPANのプレイヤー(出展者)であるはずなのに、離れていってしまった企業に向けて現状のCEATEC JAPANに対する理解を深めてもらう活動を進めていきます。