LINEは9月27日、都内で「LINE Token Economy」構想における具体的な仕様や技術に関する記者発表会を開催し「未来予想」「Q&A」「商品レビュー」「グルメレビュー」「スポットSNS」の領域において、新たに5つの「dApp」(Decentralized Applicationsの略で、ブロックチェーン技術を用いた非中央集権的、オープンソースなアプリケーション)サービスの計画を発表した。

LINEが描く「LINE Token Economy」とは

LINE Token Economyは8月に発表しており、韓国のブロックチェーンコンソーシアム「ICON」と同社が開発したブロックチェーンネットワーク「LINK Chain」を基盤(メインネット)として「LINKエコシステム」を構築し、サービス提供者とユーザーが共創関係を目指すトークンエコノミー(発行・流通する独自トークンを中心とする経済圏)構想。

  • 「LINE Token Economy」のイメージ

    「LINE Token Economy」のイメージ

ユーザーは、新たなdAppサービスや、今後LINKエコシステムに参加する既存のLINEサービスに登録・利用すると、アクション内容やサービスへの貢献レベルに応じ、インセンティブとして独自の汎用コイン「LINK Point(日本向け)」や「LINK(海外向け)」を獲得することが可能。

LINE 代表取締役社長 CEOの出澤剛氏は今回の取り組みの背景として「インターネットとスマートフォンの登場に匹敵するような大きな技術的パラダイムシフトが起こりつつあると認識している。これにより、インターネットが新たなフェーズに入り、一端を担う革新的なテクノロジーがブロックチェーンだ。LINE Token Economyは、より生活に近い分野にブロックチェーンを活用する」と、述べた。

  • LINE 代表取締役社長 CEOの出澤剛氏

    LINE 代表取締役社長 CEOの出澤剛氏

昨今、インターネットユーザーはコンテンツを受益するだけではなく、SNSやブログ、口コミサイトなどで積極的にコメントを残すことでコンテンツの生産者となっており、サービス自体に貢献している。

そのような状況を踏まえ「本来であれば貢献者に対して然るべき金銭的な還元がされるべきだが、現状ではそのような取り組みはそれほど多くない。あったとしても小額であり、還元の仕組みがフェアであるかは判断できない」と指摘。

これは、運営側の収益的な観点もあるが、大きな理由としては多くの参加者が出入りし、価値を判断するシステムの構築は技術的にハードルが高いことが課題となっており、ブロックチェーンを活用することで、課題解決が図れるのではないかと考えたという。

出澤氏は「ユーザーがサービス内で活動することで、トークンを受け取り、サービスが成長していくとトークンの価値自体も向上していく。トークンの価値が向上すれば、ユーザーのモチベーションの向上につながり、これまでにないユーザーのエンゲージメントを得られる。そして、質の高いサービスを創出することができ、大きなパラダイムシフトを作ることが可能になる」と胸を張る。

なお、現在開発者用キットの公開準備を進めており、2019年中をめどにLINE以外が提供するサービスも参加できる予定だという。これにより、サービス提供者側は多くの時間とコストをかけて独自でブロックチェーンネットワークやトークンエコノミーを開発・構築する手間をかけることなく、トークンエコノミーを導入することを可能としている。

仮想通貨交換所でのLINKの取り扱いを開始

LINK(海外向け)は、10月16日にグローバルの仮想通貨交換所「BITBOX」で取り扱いを開始する。ユーザーがインセンティブとして獲得したLINKは、BITBOX上でそのほかの仮想通貨との交換・取引が可能になる。BITBOXは、2018年7月のサービス開始以降、順調に成長しており、2018年9月にはグローバルでトップ10位、最高位は第2位の総取引量となっている。

  • LINK(海外向け)の概要

    LINK(海外向け)の概要

一方、日本国内のユーザーに向けたLINK Pointは、LINKエコシステムに参加するそのほかのdAppサービスで使用できるほか、1 LINKポイント=500LINEポイント(500円)で交換し、国内9万4000カ所で利用可能なLINE Payでの決済やLINEサービスでの購入・決済時に利用できる。

  • LINK Point(日本向け)の概要

    LINK Point(日本向け)の概要

LINKとLINK Pointは、LINK Chain上に記録され、ユーザーの貢献に対する適切なインセンティブの付与、透明性の担保を実現するという。

そして、同社は透明性を担保するため、LINK PointとLINKの総発行量や各ユーザーへのインセンティブの付与状況や総発行量、ユーザー間の取引など、すべてトランザクションの確認が可能な「LINK SCAN」を公開する。

これまでのポイント付与サービスなどの中央集権型サービスにおいては、中央の管理者であるサービス提供者が報酬体系を決定しており、そのロジックはユーザーには公開されない形で付与されるものも多くあるという。

そのため、大規模なトランザクションをスピーディーに処理するLINK Chainで構成されたLINK SCANはユーザー同士での評価や、dAppサービスの提供側によるユーザーの評価などを確認することができるという。これにより、すべてのユーザーによるトランザクションの確認が可能となることで、データの改ざんなどが不可能となり、信頼性・透明性の担保を実現するとしている。

  • 「LINK SCAN」のイメージ

    「LINK SCAN」のイメージ

セキュリティに関しては、ブロックチェーン自体は電子証明と暗号化アルゴリズムを備えているが、LINK Chainはこれらに加え、プライベートブロックチェーンと、エコシステムを管理するスマートコントラクト、ホワイトリストを実装する。

5つのdAppサービス、海外も視野に

同社ではLINK Chainを基盤とし、LINK Pointを利用することができる5つのdAppサービスを順次提供を開始する。これにより、LINE Token Economyでユーザーのアクションが適切な評価を受け、それによりサービスが成長するような共創の構築を目指す。

提供を開始するサービスは「知識共有」「未来予想」「商品レビュー」「グルメレビュー」「スポットレビュー」の5つカテゴリ。知識共有プラットフォーム「Wizball」と未来予想サービス「4CAST」は、β版を9月より先行公開している。

また、商品レビュープラットフォーム「Pasha」、グルメレビュープラットフォーム「TAPAS」、ロケーションSNSプラットフォーム「STEP(仮)」は2018年第4四半期~2019年第1四半期にローンチを予定している。

LINE 取締役 CSMOの舛田淳氏は5つの領域からスタートすることに関して「ユーザーニーズが高く、参加型で成長している領域であり、そこにdAppのアプローチでLINKを用いて参入していく」と意気込みを語る。

  • LINE 取締役 CSMOの舛田淳氏

    LINE 取締役 CSMOの舛田淳氏

Wizballは、知識共有のためのQ&Aプラットフォームとなり、サービスの価値向上に貢献したコミュニティメンバーと価値を分かち合うことでインセンティブが付与され、ユーザー同士がよりよい情報共有環境を創り上げていくことを目指す。アプリ版の提供は10月下旬を予定している。

  • 「Wizball」の概要

    「Wizball」の概要

4CASTは、コミュニティ内で未来に起きることを予想して楽しむプラットフォームとなり、参加ユーザーの知識や知恵をベースに参加者が予想し合うことで、精度の高い未来予想ができるという。サービス内でのアクションを通して、サービスの価値向上に貢献したユーザーは、LINK Pointをインセンティブとして得ることを可能とし、2019年にユーザーによるトピックを追加する。

  • 「4CAST」のイメージ

    「4CAST」のイメージ

Pashaは、画像認識技術により、身の回りにあるさまざまな商品の写真を撮ることでレビュー・検索できるプラットフォームとなり、調べたい商品の写真を撮るだけでPashaのデータベースから商品情報を検索することができる。データはユーザーが投稿した情報で構成されており、投稿・レビューなどのアクションをしたユーザーには、インセンティブが付与される仕組みとなる。

  • 「Pasha」のイメージ

    「Pasha」のイメージ

TAPASは、日本全国にある飲食店の情報を共有することができるグルメレビュープラットフォーム。ユーザーは、実際にお店に訪れた際のレシートをカメラで読み込むことで「評価」「コメント」「写真」などを投稿できるため信頼性の高いレビューとして共有されるという。投稿・レビューなどのアクションをしたユーザーには、インセンティブが付与される仕組みとなっているほか、店舗情報や食べたメニューはレシート読取り時に自動的に反映される。

  • 「TAPAS」のイメージ

    「TAPAS」のイメージ

STEPは、レジャーや旅行などで訪れた場所の思い出を共有するSNSプラットフォームです。アップした写真に位置情報とタグを入力することで、旅行の思い出をBOOKとしてまとめることができる。さらに、BOOKを公開すれば旅行情報として、そのほかユーザーと共有することを可能とし、閲覧されればされるほどBOOKの評価が上がりインセンティブを受け取ることを可能としている。

  • 「STEP」のイメージ

    「STEP」のイメージ

今後、dAppサービスの展開として舛田氏は「第2フェーズは既存のLINE LIVEやLINEマンガなど、われわれのCGMサービスと連携し、第3フェーズではサードパーティへの開放を計画している」と、強調した。

  • 開かれたエコシステムとして外部にも開放していく

    開かれたエコシステムとして外部にも開放していく

また、同氏は「ユーザーに発行しているLINEポイントは3億ポイント以上に達しており、LINE Token Economyは日本だけに閉じたものではない。今後は順次、海外にも展開し、12月にはデベロッパー向けのツールキットのリリースを予定している。そして、2019年にはパブリックブロックチェーンやdAppsサービスも拡大するなど、段階的にエコシステムをアップデートしていく」と、今後の展望を語っていた。

  • LINE Token Economyの今後のリードマップ

    LINE Token Economyの今後のリードマップ