なぜ”たった2枚の写真”だけでサイズを測れるのか

ーーBodygramについて、ユーザーはスーツなどの特別な道具を用意する必要がなく、好きな服、好きな場所で写真を2枚撮るだけで身体の採寸ができると聞いています。なぜこのようなことができるのでしょうか?

Koh氏 : このように簡単なプロセスでの採寸を実現できるのは、競合他社と比べた場合の測定方法の違いが一番の要因です。競合他社のアプローチは、正確に被写体の採寸をするために、3Dの仮想モデルをつくり、そこから各項目のデータを取りだすというものになっています。

しかし当社の場合には、その3Dモデルを作らない方法を採用しています。身体をコンピュータビジョンで認識し、あらかじめ用意しておいたデータをもとにマシンラーニングを用いることで、必要なデータを得るという方法です。

現状、2枚の写真、それぞれ正面と側面の写真を撮影し、身長と体重を入力することで、肩幅や首回りなど全身40か所において、平均誤差1センチ程度のデータをとることが出来ます。この誤差は、データが集まるにつれて小さくなっていくため、1年以内には誤差が5ミリ以下になると予想しています。また、スマートフォンのカメラの性能が上がることも、さらなる精度向上に寄与するものとなります。

サービスの普及はシリコンバレー流。その名も「URL戦略」

ーー「MeasureBot」「Bodygram」が消費者にとって魅力的なサービスであることはわかりました。それでは、これらのサービスをどうマネタイズしていくのか、という展望についてお聞かせください

Koh氏 : 正直を言うと、まだマネタイズに関しては考えきれておりません。まずは製品を成長させ、より多くの消費者に使ってもらうことを目指しています。

シリコンバレーでは有名ですが、”URL戦略”という考え方があります。この場合のURLとは、インターネット上のリソースを表現するものではなく、Ubiquity first, Revenue Laterーーつまり、「まずは、いつでもどこでも使えるものをつくり、収益モデルは後から構築する」という考え方です。

ですので、私たちのビジネスモデルはどのようなものか? という質問に対しては、「URLです」と答えます(笑)。

ーーまずは、これらのサービスを広く一般的なものにしていきたいということですね。それでは最後、今後のOriginal社の展望、今回のサービスを広めていくための戦略についてお聞かせください

Koh氏 : より多くの人に当社のサービスを使ってもらうために、サービスをより良いものにしていきたいと思っています。そのために今後も技術への投資、エンジニアリングチームへの投資を続けたいと思っています。これによって使い勝手がいいサービスを作り出し、その評判を聞いた人がまたサービスを使い出す。そういった自然な流れを作っていきたいと考えています。

ーーまさに「Ubiquity first」ですね。まずは夏のBodygramのリリースが楽しみです。どうもありがとうございました

  • Original Stitch オーダーメイドシャツ

    Originalのオーダーメイドシャツ作成サービス「Original Stitch」によってつくられたシャツ。BodygramやZOZOSUITなどを用いた次世代の採寸が普及することによって、身体のサイズにフィットした洋服を注文する人やECサイトでの洋服の購入への抵抗感を無くす人が増え、ファッションECでの”サイズ問題”は少しずつ解消されていくことだろう