奈良先端科学技術大学院大学は、AI技術でツイッターの花粉症に関する発言を抽出、集計して流行の状況を把握し、天気予報のように情報提供するアプリ「花粉症ナビ - 人工知能で花粉症危険度をお知らせ」を開発したと発表した。

  • 「花粉症ナビ - 人工知能で花粉症危険度をお知らせ」(出所:奈良先端科学技術大学院大学ニュースリリース)

    「花粉症ナビ - 人工知能で花粉症危険度をお知らせ」(出所:奈良先端科学技術大学院大学ニュースリリース)

同アプリの開発は、奈良先端科学技術大学院大学研究推進機構研究推進部門ソーシャル・コンピューティング研究室の荒牧英治特任准教授、若宮翔子博士研究員らの研究グループによるもの。

花粉症は日本において国民症ともいわれる身近なアレルギー性の疾患で、花粉の飛散量をモニタリングするシステムなどが提供されているが、花粉の飛散量と花粉症者の症状にギャップがあることも報告されている。また、病院に行かない人も多いため、花粉の飛散量や病院にかかった患者数だけでは、花粉症で苦しんでいる人々の動態を把握することが困難となっている。そのため、同研究グループでは、花粉症で苦しむ人々を一種のセンサー「ソーシャルセンサー」とみなし、ソーシャルセンサーのつぶやきを活用した花粉症サーベイランスに取り組んでいる。

今回開発されたアプリでは、ソーシャルネットワークサービス「ツイッター(Twitter)」に投稿されている発言を自然言語処理することにより、その中から「花粉症」に関するつぶやきだけを抽出し、そのつぶやき数を都道府県ごとに集計し、前日比に基づく花粉症の流行度合いを天気予報のようにチェックすることができる。都道府県単位の利用者の位置は、ツイッターでの発言時にGPSにより付与された位置情報や、プロフィールで公開されている場所名などから特定しており、また、花粉症に関わるつぶやきの判定は、ソーシャル・コンピューティング研究室が開発している自然言語処理を用い、実際に「花粉症」に関わる症状で苦しんでいる人のつぶやきのみを高い精度で抽出している。

今後は、将来の花粉症流行を予測し、その情報も提供していく予定となっている。さらに、ユーザが自身の症状の有無をワンクリックで報告すると、位置情報をもとに近くにいる人の報告を確認することができるアプリケーションの開発も進められているという。これにより、Twitterの投稿だけではなく、オリジナルのデータを用いて、都道府県よりも詳細な地域単位での流行推定ならびに予測精度の向上を目指しているということだ。

なお、同様の仕組みで、インフルエンザの流行状況をチェックすることができるアプリ「インフルナビ」もリリースされている。