AMDは6月24日、"Fiji"コアを搭載した「Radeon R9 Fury X」を発売した。実売価格はおおむね11万円台だが、入荷数が極めて少ないため、瞬殺となっているようだ

Radeon R9 Fury Xについては、すでに編集部によるファーストインプレッションが出ているが、テストできる時間が短かったこともあり、ごく簡単なレビューのみにとどまっていた。なので、あらためてテストを実施し、詳しく評価したいと思う。

また、今回はRadeon R9 Fury Xに加えて、7月14日に発売されるRadeon R9 Furyについてもテストを行った。この記事は発売前に書いているので、価格やどの程度の数量が発売時に用意されるかといったところはさっぱり分からないのだが、6月16日の発表イベントでは、Fury Xが649米ドル、Furyが549米ドルとされていた。

Fury Xが11万円台ということを考えると、Furyの初値は10万円を少し切るくらいになるのだろうか? ということで、今回はR9 FuryとR9 Fury Xの性能評価をまとめてお届けしたい。

Radeon R9 Fury X

こちらはすでに記事も上がっているから詳細な説明は不要だろう。搭載される"Fiji"コアは596平方mmで、64CU/4096SPのお化けである(Photo01)。

Photo01:COMPUTEXにおける写真からではダイサイズを572.4平方mmと推定したが、実際はそれよりもやや大きかった。トータル1011平方mmというのは、ダイとHBMの載ったSilicon Interposerの面積と思われる

これに液冷キットを組み合わせたのがR9 Fury Xという構成である(Photo02)。本体からの配管の出口はこんな具合(Photo03)に案外そっけない。裏面も完全にカバーされており(Photo04)、カード全体の質感はかなり高い。同じく液冷キットを組み合わせたRadeon R9 295X2とはまた違った趣がある。ラジエターのことを考えなければ、かなりコンパクトなカードである。

Photo02:総重量は1514g。本体部のみを測定すると863g、ラジエター部のみだと741g。手で支えながらの測定なので厳密さにはやや欠ける

Photo03:ホースや配線の側がメッシュカバーをかぶせてある関係で、取り付け時にホース類を傷つける心配はあまりなさげ。あと、ホースがいわゆる水冷キットと比べるとやや細く、かつ長めである。ポンプの圧力が高めなのだろうか?

Photo04:サイズは実測地で長さ195mm、高さ100mm、厚み40mm(何れも実測値)。実はこう見えて普通のカードよりもやや大きめである

さてそのラジエターであるが、かなりの威圧感がある(Photo05)。冷却そのものは120mmのファン1基でまかなわれているが、取りあえず静粛性はかなり高かった(Photo06)。

Photo05:幅は155mm、高さ120mm、厚みは60mm(いずれも実測値)とかなり大型。大型というか「ブ厚い」

Photo06:ファンの厚みは25mm(実測値)だった

ところでPhoto04で「やや大きめ」と書いた証拠写真がこちら(Photo07)。カード取り付け部のブラケットから10mmほど高さがあり(これはPhoto03でも分かる)、またカードの裏面部のカバーも5mm以上の高さがある。

Photo07:ちょっと判りにくいかも知れないが、左側がバックパネル部になる

マザーボードの拡張スロットが全部埋まるなんて場合には、隣のカードとの干渉がやや気になるし、また小さめのPCケースだと側面パネルがカードと干渉しかねないので注意が必要だ。もっとも、小型ケースだとそもそもラジエターが入らない恐れがあるので、これは無用の心配かもしれない。

最後にGPU-Z(Photo08)と、CCC(Catalyst Control Center)のハードウェア表示(Photo09)を示しておく。

Photo08:こちらではシェーダ数が4096であることが確認できる

Photo09:情報は概ねPhoto08と同じ