今回同社がFD-SOIに注力するのは、TSMCをはじめ主要なファウンドリが一斉に28nm世代の強化を行っている事と無縁ではないだろう。TSMCはすでにIoTなどのデバイス向けに超低消費電力の28nm ULPを立ち上げており、これに加えてまもなく28nm世代でさらに性能を上げたプロセスも追加する模様だ。UMCやSMICも28nmの量産を開始しており(SMICはまだちょっと怪しいらしいが)、ハイエンドのプロセッサ(モバイルあるいはネットワーク向け)とGPU「以外」は全部28nmに集約されつつある気配すらある。なにせMCUですら2016年あたりには28nmに名乗りを上げてくるところが出そう、という勢いである。もちろん同社も28nmのバルクプロセスを大量に生産しているが、このままでは差別化が難しくなってくる事もあり、FD-SOIを新たにラインアップに加えた、というあたりなのかもしれない。

ちなみに量産工場はドレスデンのFab 1(旧AMDのFab 36/38)で、現在は300mmウェハを年間60万枚製造している拠点である。同社はこのFab 1で22FDxの生産を行う予定であり、2017年末までにこの22FDx関連で2億5000万ドルを投資する。現在はFab 1の年間60万枚の半分以上が28nmのHKMGプロセスとなっているが、氏によれば2017~2018年頃にはこのHKMGプロセスのほとんどが22FDxになる予定だとか。

ちなみに今後の予定では、引き続きPlaner構造のFD-SOIの微細化の研究も進めているとのことで、少なくとも14nm世代での経済合理性は確認できたという話であった。またIBMのファウンドリ関連の買収の結果、FinFET on FDSOIの研究を行っていたメンバーが大量に同社に入社しており、この分野の研究もさらに進めてゆく、という話であった。

22FDxは、2016年後半にまずリスク生産が開始される予定である。恐らくはまず22FD-ulpのリスク生産が開始され、問題がなければ量産開始は2016年末あるいは2017年初頭となるだろう。プレスリリースのSupporting QuotesにはFreescaleもメッセージを寄せており、次世代のi.MXシリーズ(i.MX8?)で22FDxを使う事を明らかにしている。またARMもメッセージを寄せており、Physical IPあるいはPOP IPの提供などを匂わせている。バルクの28nmプロセスと比較するとやや立ち上がり時期が遅いのは不安材料ではあるが、やっとFD-SOIに脚光が浴びる日がやってくるのかもしれない。