リアルフィッティング機能とクロスシュミレーション機能で、使用感を再現

こうしたシステムを使う上で、ユーザーが1番気にするのは、そのフィッティング感ではないだろうか。「身体のサイズにきちんと合わせてくれるのか?」や「動きに連動して商品映像も動いた様子」「表だけでなく左右側面からの様子は表示されるのか」など、実際の使用感に近いものであってほしい。

ウェアラブル クロージング バイ アーバンリサーチは、同社が独自に開発した3D技術「リアルタイムフィッティング機能」を採用することで、身体のラインに密着し、手足の動きにも追随することが可能で、実際に試着しているような感覚を与えてくれるものとなっている。

デモンストレーションでは、モデルが身体を左右に回転させたり、ジャンプしたりして見せた。動作に合わせて、洋服の動きや形に変化が現れるまでに多少のタイムラグはあるものの、動作後に3秒ほど停止すれば商品映像も連動し、その体制にフィットした形で表示されることが示された。

試着した後、正面を向いた様子

試着した後、横に身体を向けた様子

また、布の質感や空気の影響を反映させるために、CGなどに利用される「クロス(布)シュミレーション機能」も搭載。スカートやワンピースの「ふわり」とした感覚も表現されるという。

1台約2000万を投資。自社開発にこだわった同社の狙いと今後の展望

今回設置する池袋パルコ本館の地下1階部分は、非常に人の行き来(トラフィック)が多い場所だ。同システムは、液晶画面以外の部分を透明の仕切りで囲うボックス型となっており、通行者は中の様子を見ることができる。そのためバーチャルの試着だといえども、1人で試すには多少なりとも人目を引く場所だ(カメラの認証技術の関係上、ボックス内には多数入ることは困難)。

設置された池袋パルコ本館の地下1階の様子。平日10:00の時点でも多くの通行人がいた

実際に設置されたボックスの様子

アーバンリサーチ事業支援本部 販売促進部シニアマネージャー 齋藤悟氏

同社事業支援本部 販売促進部シニアマネージャーである齋藤悟氏は、「このようなトラフィックの多い場所を選んだ理由は、ブランドの認知度向上を狙ってのこと。ただ看板を設置するよりも、試着や購入、エンターテイメント性を提供できるため、コストパフォーマンスが良いと考えた。それと同時に、デジタルサイネージのように他社に広告枠を提供したり、このノウハウを販売したりなどの運用方法も最初から視野に入れていたため、自社開発するに至った」とした。

1号機は試験運用のため、2~3名のオペレーターが配置されるが、将来的には無人運営を目指しており、セキュリティ面などを実際の運用を通じて見極める考えだ。同氏は、「今回の設置状況によって、8月をめどに外国人観光客の多いソラマチや、ショールームのある台北への導入を考える」とし、海外展開にも強い意欲を見せた。

なお、同発表会には、パルコ池袋店営業課課長 服部静氏も同席。「LINEやFacebookでの情報発信は、今までも行ってきたが、今後Webとの連携を一層強化したいという考えがある」とし、その取り組みの一部として今回のバーチャルフィッティング端末導入に至った経緯を説明した。