スタント・コーディネーター ディッキー・ビール氏

「スタント・コーディネーター」という職業をご存知だろうか。アクション映画の制作において、重要な役割を担うスタント・コーディネーターという仕事について、カーアクション映画『デス・レース2』でスタント・コーディネーターを務めたディッキー・ビール氏に話を訊いた。ビール氏は『デイライト』、『トゥームレイダー』、『スターシップ・トゥルーパーズ』など、様々なアクション/SF映画でスタント・コーディネーターを務めてきた人物。また第二班監督としても、様々な作品に関わっている。

CGの進化で危険なスタントは過去のものとなった

――まず、映画制作におけるスタント・コーディネーターという仕事は、どのような事をする仕事なのでしょうか。

ディッキー・ビール(以下、ビール)「スタント・コーディネーターは、映画のアクションシーンの全般に関わる事を担当します。具体的に言うと、スタントマンの採用、アクションシーンに必要な道具の調達、リハーサルの調整、人の調整、予算管理などです。この仕事でユニークなのは、作品によっていつも違うことが求められるという事ですね。また、撮影のスタイルや映像技術が変わることで、撮影に必要な道具や身に付けるべき技術も変わります。そういった変化する部分にも、やりがいを感じています。特に、最近はCGの技術が進歩が凄いので、CGやカメラ技術の進化を吸収していくという部分にもやりがいを感じます」

――やはりツールや技術の進歩は、現場で強く実感されますか。

ビール「カメラもHDがメインになり、それらの技術進化にともない、昔と比較してコストをだいぶ削減して撮影に臨めるようになりました。例えば、たったの300ドルぐらいのハンディカムで撮影しても、後からいくらでも合成をかけて、良い映像に仕上げられますからね」

――最新作の『デス・レース2』では、どのようなパートを担当されたのでしょうか。

ビール「『デス・レース2』では、スタントコーディネーターを務めました。この作品は南アフリカで撮影したのですが、スタントマンも現地で募集したんです。大変だったのは、10人のスタントマンを採用しても、その中で仕事をこなせるのは3人ぐらいしかいなかったという事ですね(笑)。ちなみに、予算があるときはスタントマンも一緒に連れて行くのですが、今回は予算の関係上、スタントマンを現地で採用したのです」

『デス・レース2』

『デス・レース』の続編に当たる本作は、内容的には『デス・レース』のプリクエルとなっている。刑務所を舞台にしたデス・レースがどのように誕生したか、デス・レースの伝説的覆面レーサー フランケンシュタインのデビューのきっかけや、素顔などが描かれる
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