千葉県・幕張メッセで開催中のCEATEC JAPAN 2010の会場でUQコミュニケーションズは、UQのサービスを紹介するとともに、300Mbps強という高速通信を可能にする次世代サービス「WiMAX2」の実証実験が行われていた。

WiMAX2は、規格上はIEEE802.16mにあたり、従来のWiMAX(802.16e)の上位規格となる。下り330Mbps以上という光回線並みの高速大容量通信が可能で、現在時速120km程度の高速移動時の利用も、時速350kmまで拡大される。現在のWiMAXは下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsだが、これを330Mbps、112Mbpsまでそれぞれ引き上げるほか、利用する周波数帯域も2.6GHz帯の10MHzから20または40MHzまで拡大。上下ともに64QAMの変調方式を採用し、4×4のMIMOも活用することで、低遅延で高速な通信を実現する。

WiMAX2による300Mbpsの通信で実際に伝送されていたフルHD動画(左)と3D動画。左画像下部のPCで映像を処理してテレビに出力している

WiMAX2の採用で、IPネットワークでのスループットは300Mbpsが実現できるということで、CEATEC会場では、サムスンの基地局を持ち込み、実際にデータ伝送を行うデモを実施していた。

今回使われていたシステムで、基地局とゲートウェイが設置されている

実際の通信速度は平均で300Mbpsを超えている

ただ、「300Mbpsを使うコンテンツを用意する方が大変」(同社)で、結局ブースでは、4つのテレビにそれぞれ4つのフルHD動画、1つのテレビに3DのフルHD動画を一度に配信することで、300Mbpsに達する映像配信を実際に行っていた。

デモでは、遅延が従来の50msに対して20msと半減しており、それぞれの映像も途切れるとことなく配信できており、WiMAX2の実力を見せつけていた。ちなみに、300Mbpsのデータを処理するPCやネットワーク設備側も大変で、本格的なL2スイッチを使い、映像処理はCore i7搭載PCを4台持ち込んで行ったそうだ。

UQでは、高速大容量を可能にするWiMAX2を、2012年中にはサービス開始する予定。UQ側は、NTTドコモが今年12月から開始するLTEサービス(LTE Rel.8)は屋外で下り最大37.5Mbpsのために現状のWiMAXと同等という判断で、続いてさらに増速化したLTE Rel.10の登場は2014年ごろと見込む。同等のWiMAX2を2012年中に始めることから、UQでは「2年先を行っている」(同社)と自信を見せている。

UQブースではさらに、今後発売を予定しているモバイルルータも出展。1台はアイ・オー・データ機器の一体型WiMAXルータで、新書サイズ程度の薄型の端末で、LAN回線で接続したクレードルに立てかけることで、自宅に帰ったら固定式ルータ、そのまま持ち出したらモバイルルータという使い方ができる。発売日などの詳細は現時点では未定。

アイ・オー・データ機器のモバイルルータ。本体をクレードルに設置して有線ルータとしても利用できる

NECアクセステクニカの2代目となるモバイルWiMAXルータは、IEEE802.11b/g/nの無線LANとUSB2.0端子を備えた手のひらサイズのコンパクトサイズで、既存モデルに比べて電池駆動時間を2倍以上となる5時間以上の通信時間を実現する予定だ。本体サイズは現時点で105(W)×70(D)×15(H)mm、120gとコンパクトに仕上げる予定。現在は参考出品の段階で、発売は近日の予定。

NECアクセステクニカの新端末。まだ発売日は決まっていないが、近日中に登場予定

アルチザネットワークスが初めてコンシューマ向けブランド「Artiza Design」として発売するモバイルルータは、コンパクトでデザイン性の高さが特徴。本体前面には有機ELによるディスプレイを搭載し、電波状況や電池残量なども表示できる。microSDカードを挿入し、複数の無線LAN子機から共有できる「ネットワークストレージ機能」を備えるなど、多機能ながらシンプルな外観となっている。オプションで革製品の「BEAU DESSIN」によるオリジナル革ケースもオプションで用意し、デザイン性にも配慮した製品となっている。12月下旬の発売予定だ。

アルチザネットワークスが初めてリリースするコンシューマ向けブランドの最初の製品。デザイン性に配慮しているのも特徴

ちなみに、UQブースにはJR品川駅に2台設置されている自動販売機acureも展示されていた。液晶画面に飲料の写真を載せ、タッチパネルで商品を購入する。販売機上部にカメラがあり、前に立った人の顔を検出して性別と年代を識別。さらに季節や気候を考慮しておすすめ商品を提示するという特徴がある

購入してみたところ。今年度中に100台、来年度中には400台の設置を目指しているそうだ

こちらはプリントシール作製機(いわゆるプリクラ)だが、撮影した写真をそのままサーバにアップロードし、スマートフォンや携帯電話にダウンロードできる、というもの。UQのネットワークを経由してスマートフォンに高解像度の写真を送る、といった用途を提案しているということで、今後の商品化を検討している段階だそうだ