2010年4月14日から16日までの3日間、東京ビッグサイトにてフラットパネルディスプレイ(FPD)関連技術の展示会「第20回 ファインテック・ジャパン」が「第2回 次世代照明 技術展(ライティング ジャパン)」や「第1回 高機能フィルム技術展(フィルムテック ジャパン)」などと併せて開催されている。

ファインテック・ジャパンは「第20回 FPD研究開発・製造技術展」「第5回 FPD部品・材料 EXPO」「第2回 国際タッチパネル技術展」「Display 2010(第6回 国際フラットパネルディスプレイ展)」の4つの展示会で構成されている。一方の次世代照明 技術展は最近のLED照明の市場拡大の流れをそのまま持ち込んだかのように展示規模を拡大しての開催となった。

ファインテックの会場風景

今回は、20年目の節目となったファインテックの展示内容を中心に展示レポートをお届けしたい。

FPDの歴史が分かる特別企画

20年目という節目の開催ということで、今回のファインテックでは特別企画として「FPD技術革新の歴史展」が開催されている。

そもそも液晶の発見は1888年(明治21年)オーストリアの植物学者Friedrich Reinitzer氏により発見され、20世紀に入り実用化に向けた取り組みが進められてきた。日本でも1973年(昭和48年)にシャープが液晶の実用化に成功、ポケット電卓「EL-805」に搭載してヒットを飛ばしている。

同特別企画では、そのポケット電卓よりも古い1969年にシャープが発売した世界初のLSI化電卓「QT-8D」の展示から始まっている。何故EL-805ではなくQT-8Dかという具体的な説明はないのだが、説明文には「液晶ディスプレイ(LCD)が実用化されるまでは、蛍光表示管を用いた表示が主流でした」と記載されているので、LCDが実用化される前と、その後を比べるために展示されているものと推測される。

蛍光表示管を用いた電卓「QT-8D」

QT-8Dから展示は始まるわけだが、その後はさまざまな材料や技術の開発についての説明などが続く。もちろん、LCD搭載アプリケーションの展示もあり、1983年には大型ドットマトリックスLCDを搭載し、電池駆動も実現した16ビットCPU8088採用パソコン「PC-5000」が登場、さらに1989年には10型のTFTカラーLCDを搭載したラップトップパソコン「MZ-8754A」が登場している。

PC-5000(左)とMZ-8754A(右)

また、90年代に入ると、反射型カラーLCDが登場。携帯型ゲーム機やPDA、携帯電話などに搭載され、携帯機器にLCDが搭載されるという礎が作られることとなる。

反射型カラーLCDを搭載した携帯機器が次々と登場した90年代

さらに2000年代に入ると、液晶技術の進化がさらに加速していく様が展示されている。例えば2005年に開発された東北大学内田研究室/液晶先端技術研究センター(21あおもり産業総合支援センター)提供の15型 フィールドシーケンシャルカラー方式OCB TFT-LCDは、従来のLCD比で6倍の応答速度を実現しているし、2008年には同研究室ならびに同センターではやはり同方式を採用し、340ppiを実現した小型フルHDモニタを実現している。

15型のフィールドシーケンシャルカラー方式OCB TFT-LCDで180field/sec、単純RGBモードによる高輝度実演

6.5型の360field/sec、RGBKKKモードの実演

この数年の展示は製品が基本となっており、LCDではなくFPD全体としての展示として、有機EL(OLED)を用いた「有機EL クロック」やカラー電子ペーパーを用いた富士通フロンテックの8型携帯情報端末「FLEPia」などが展示されている。

有機ELクロック

カラー電子ペーパーを用いた富士通フロンテックの8型携帯情報端末「FLEPia」

個人的にはPDPの展示がない、ということが気にかかったが、これだけの年月を経て今のFPD技術まで進化してきた、ということが一通り分かる内容になっていたと感じられた。