マイクロソフトといえば、WindowsあるいはOfficeがまず思い浮かぶ。つまりコンピュータソフトの王者との印象が強い。しかし近年、同社はインターネットを介した多様なサービスを整備することに余念がない。さらに、最近では広告事業への志向も強めている。

マイクロソフトが、この領域で目指すものは何か。ネットワークサービスと広告、この二つの中核となるMSNとWindows Liveの陣頭で采配を振るう、同社の笹本裕 執行役 常務 オンラインサービス事業部長に聞いた。

笹本裕 マイクロソフト執行役 常務 オンラインサービス事業部長

--ネットによるサービスの全体像は

「まだ進化している状況だ。マイクロソフトだけでなく、オンラインビジネスの市場そのものが変わってきている。ブロードバンド化により、大量のデータが行き来するようになった。そうした環境の変化にともなって、CGM、ビデオなど、ユーザーがインターネットを利用する目的も変わってきており、サーチも進化している。オンラインビジネス自体が次の段階に進んでおり、商品やビジネスモデルも進化させなければならない。マイクロソフト全体でみると、ソフトウェアのビジネスではOSが大きなシェアをもっているわけだが、パソコンソフトもパッケージでの流通だけでなく、インターネットでダウンロードするというかたちも出てくる。ネット環境が充実化するなか、ソフトのビジネスも変化が求められる」

--広告ビジネスも変わってきている

「一つのサイトに広告を配信するというのが、通常のモデルだったが、米マイクロソフトが買収したデジタルマーケティング/ネット広告企業のaQuantiveは、ネットワーク型の広告モデルを展開している。広告をさまざまなチャネルにネット配信できるソフトがあり、パブリッシャー(サイト運営者)の広告在庫を活用できる。aQuantiveの技術は、一度サイトを訪れたユーザーに対し、二度同じバナーをみせることがない。一つの要素について、2度同じ広告を出さないということだ。たとえば、ある訪問者は、最初にみたバナーにはぐっと来るものを感じなかったが、次に訪れた際に示されたもう一つのバナーには何か感じるものがあった、というような効果が見込まれる」

--MSNとWindows Liveは、マイクロソフトのネットビジネスの基盤であるのは明確だ。しかし、それぞれの位置づけは、外部からもうひとつわかりにくい面もある

「MSNはあくまでコンシューマー向けであって、ポータルそのものだ。メディアとして発信した情報を見てもらう役割を担うが、Windows Liveはどちらかというと、Windows Liveメッセンジャーや、スペースといったツール、サービスを提供するプラットフォームであり、そういう機能をWindows Liveとして分離している」

--いまや、ネットを基盤としたメディアや広告を論ずるうえで、CGM (Consumer Generated Media)は看過できない要素となってきた