時代が求めている変革を見据え、果敢に挑戦することで、地域社会および国際社会に貢献しうる人材の育成を目指す高知大学。1990年代より展開しているノートPCを必携化した授業など同大学の取り組みから、この挑戦の姿勢は随所に見てとることができます。

今でこそ多くの大学がノートPCを必携化していますが、高知大学では20年前の1997年より、全学生を対象としたノートPCの必携化を開始。当時、PCの利用は計算機としての用途が主でしたが、同大学はICTの進化によってPCが日常的なツールとなることを見越して、この取り組みをスタート。予想どおり、現在、社会においてICTは欠かすことのできない要素となっています。高知大学が取り組んだこの挑戦は、まさに、時代が求めている変革を見据えたものだといえるでしょう。さらにこの取り組みは、同大学の生協が販売する大学推薦PCにSurface Pro 4を採用したことで、アナログとデジタルを融合したあらたな形へと進化しつつあります。

高知大学

プロファイル

高知県高知市に位置する高知大学。人文社会科学部、教育学部、理工学部、医学部、農林海洋科学部、地域協働学部、土佐さきがけプログラムの6学部1プログラムを構える同大学は、法人化以降、これまで以上に大学の個性化を推し進めることで、地域社会と国際社会に貢献しうる人材育成につとめています。

導入の背景とねらい
ICTの活用を「手段」として定着させるべく、1997年からノートPCを必携化

国立大学法人 高知大学 教育研究部 自然科学系 理学部門 教授(理学博士)村上 英記氏

グローバル化と情報化の急速な進展にともない、近年、社会のあらゆる活動がICTを通じて行われるようになっています。2016年に文部科学省が報道発表した「教育の情報化加速化プラン」では、ICTを手段として効果的に活用できる人材の輩出が、今後強く求められることを提言しています。こうした社会の動きをかねてより見据え、1990年代からノートPCを必携化した授業を展開しているのが高知大学です。

高知県の中央部、高知市に位置する高知大学では、1949年の創設後、約70年にわたって地域社会および国際社会に貢献しうる人材の育成と輩出を実践してきました。

今でこそ多くの大学がノートPCを必携化していますが、高知大学では20年前の1997年より、全学生を対象としたノートPCの必携化を開始しています。

同大学では各学部の教員からなる教育情報委員会が、ノートPC必携の情報教育を指揮しています。同委員会で委員長を務める、国立大学法人 高知大学 教育研究部 自然科学系 理学部門 教授 村上 英記氏は、早くからノートPCの必携化を進めた理由について次のように説明します。

「1997年当時、インターネットはまだダイヤルアップの時代で、PCはあくまで計算機という位置付けに過ぎませんでした。しかし、当時もICTの進化はめまぐるしく、近い将来に PCの活用が計算機以外の範囲にまで拡大することを推測しました。そこでは『PCをツールとして有効活用できるか否か』が、その人の人生を左右する技能になるでしょう。こうした思いから、1997年より全学生を対象にノートPCを必携とした授業を開始しました」(村上氏)。

ノートPCを介した ICTの活用が「手段」として定着するためには、特定の授業だけでなく、大学生活のあらゆるシーンで同デバイスが活用されることが求められます。そこで、高知大学ではノートPCの必携化を契機とし、各教室の電源環境、学内ネットワークの無線LAN化など、学生がいつ、学内のどこであってもノートPCが活用できる環境を整備してきました。

国立大学法人 高知大学 教育研究部 人文社会科学系 教育学部門 教授(理学博士)赤松 直氏

教育情報委員会で副委員長を務める、国立大学法人 高知大学 教育研究部 人文社会科学系 教育学部門 教授 赤松 直氏は、ファシリティ面に加えて教育プロセスにおいても、ICTを取り入れたさまざまなしくみを整備してきたと語ります。

「当大学では現在、インターネット経由でアクセス可能な履修システムからのみ履修登録ができるようにしています。また、学生に公開しているシラバス(授業概要)では、各授業におけるPCの利用頻度を事前に確認できるようにしています。さらにeラーニングの環境も整備し、日々の授業に反復授業の要素を取り入れることによって、『ノートPCを活用した自主学習』を促すしくみも設けています。単にノートPCを必携化するだけでは、学生の自発的な活用は促されません。日々の教育のあらゆるプロセスでICTの活用を促すことによって、授業での活用から大学生活のさまざまなシーンでの活用にまで波及することを期待したのです」(赤松氏)。

高知大学がノートPCの必携化を開始してから 20年以上が経過した今、同大学におけるICTの活用は着実に浸透しています。それと同時に、社会においてもまた、ICTは欠かすことのできない要素となっています。「ICT=手段」という、まさに同大学が予想したとおりの時代が訪れているのです。それゆえに、高知大学の学生が日々利用するノートPCは、ICTを有効活用する人材を輩出するうえで重要なウェイトを占めることとなります。

高知大学生活協同組合 朝倉ショップ 小谷 高史氏

高知大学には毎年1,100名前後の新入生が入学し、そのうちの約7割が大学生協で販売する大学推薦PCを購入します。大多数の学生がこれを利用するわけですから、当然、大学推薦PC候補機の選定は慎重を期さねばなりません。高知大学生活協同組合 朝倉ショップ 小谷 高史氏は、PCに求められる要件として、性能と携行性の2点を挙げます。

「学生がノートPCで『やりたい』と思う作業があるとします。しかし、スペック不足でこの作業ができないという経験を一度してしまうと、それを理由に以後、デバイスが積極的に活用されなくなってしまいます。つまり、4年間の大学生活に耐えうる性能をもっていなければ、『ICT=手段』として有効活用する人材の輩出を滞らせてしまうのです。また、学生は大学生活において常にノートPCを所持することになります。高知大学では地域と連携した学外での授業も展開しており、気兼ねなく持ち運ぶことのできる携行性がそこでは求められます。持ち運びや利用時のストレスは、活用を妨げるボトルネックとなるため、最大限にデバイスが活用されるよう、例年、大学推薦PC候補機の選定は慎重に進めてきました」(小谷氏)。

システム概要と導入の経緯
Surface Pro 4がアナログとデジタルを高い水準で融合することに期待

高知大学では毎年11月に、翌年度の新入生向けに大学推薦PCを選定しています。これまで同大学は、先の2点に加えて計算機としての作業性も重視し、ラップトップ型のデバイスを前提に機種選定を進めてきました。2017年度大学推薦PC選定時には、2in1タブレットを候補に加えます。その理由は「活用シーンの拡大」にありました。

社会において、ICT機器の入力装置はキーボードが主流だといえるでしょう。しかし今後、スマートフォンネイティブ世代が社会進出するにつれ、社会とICTとのかかわり方も変化することが推測されます。これまでPCが主だった『ICTを活用するためのツール』についても同様の変化が予想されたのです。

こうした観点から、2in1タブレットには大きな期待を寄せたと、村上氏は語ります。

「タブレットの場合、ディスプレイに表示した内容に手書きでアイデアを加えていくことが可能です。手書き入力とキーボード入力は、そこから生まれる発想、そしてアウトプットが異なるといわれています。どちらが良い悪いではなく、用途に合わせて使い分けることが求められます。ノートPCとタブレットの両用途で利用可能な2in1タブレットを採用し、アナログとデジタルを融合することで、学生のICT活用の可能性は広がるだろうと期待しました」(村上氏)。

高知大学では2016年11月より、2017年度の新入生に向けた大学推薦PCについて選定を開始。教育情報委員会を構成する18名のメンバーのもと、10製品を候補として検討を重ねた結果、マイクロソフトが提供するSurface Pro 4の採用を決定しました。

機種選定の最終段階では、候補を2機種にしぼり、教育情報委員会委員による投票を実施。そこでSurface Pro 4は、もう一方の機種の2倍の票を獲得しています。赤松氏はその理由について、次のように分析しています。

「候補に挙げた段階で、主要件である性能と携行性は各機種が条件をクリアしていました。そのため投票前の実機検証では、学生自身が『ほしい』『使いたい』と思ってくれる製品かどうか、という観点で比較を行いました。日々使用するデバイスだからこそ、学生はデザインやイメージを気にします。Surface Pro 4のデザインは非常に洗練されており、また先進的だというブランドイメージもあります。投票の結果は、Surface Pro 4であれば学生が自ら進んで使用するだろうというメンバーの期待の表れだと考えます」(赤松氏)。

赤松氏が語った側面に加えて、Surface Pro 4は性能面も高く評価されています。たとえばSurface Pro 4が備える高い精度のタッチ入力は、「活用シーンの拡大」において有効に機能するでしょう。ノートPCとしても充分な作業性をもつため、Surface Pro 4はアナログとデジタルを高い水準で融合するデバイスだったのです。

大学生協中国・四国事業連合 高祖 健太氏

中国・四国地域にある生協のICTの調達を担当する、大学生協中国・四国事業連合 高祖 健太氏は、こうしたデバイスとしての魅力もさることながら、メーカーサポートにも期待を寄せたと語ります。

「職業柄、多くのメーカー製品を取り扱っていますが、Surface Pro 4はそもそも故障の発生が少ないデバイスです。また、万が一故障した場合、Surface Pro 4については今のところ製品交換となっているため、マイクロソフトから1週間以内に『利用できる状態』のSurface Pro 4を手配いただけます。一般的に、故障が発生した場合は部品交換となるため修理完了までの期間はこれより長く、早くて10日前後、遅い場合は1か月を超えることもあります。マイクロソフトの対応スピードは群を抜いて速いといえるでしょう。また、高知大学生協では毎年80名ほどの学生が『学生サポーター』として新入生向けに大学推薦PCの販売を行います。マイクロソフトにはこの販売に向け、Surface Pro 4をどのように大学での学びに役立てたらよいかが体感できるワークショップを実施していただきました。優れたデバイスとそれを活用するサポートがあったおかげで、安心してSurface Pro 4を学生に薦めることができました」(高祖氏)。

導入の効果
Surface Pro 4が、これまでになかったICTの活用の形を生みだす

故障率の低さや万が一の事態における迅速な対応は、「学生が常にICTを利用できる環境」を維持するうえで欠かすことのできない要素だといえます。高知大学では、Surface Pro 4に感じた「学生が自ら進んで使用するデバイス」という期待、そしてそれが安定的に稼動するという安心感を高く評価し、2016年12月、Surface Pro 4の採用を正式に決定。2017年の初頭からはマイクロソフトの協力のもと、学生サポーターに向けた販売レクチャーが数回にわたって実施されています。

大学推薦PCの購入に際して、多くの新入生は保護者と一緒にその検討を行います。2in1タブレットの販売に際しては、「ノートPCではない」ことを理由に保護者から有用性に関する疑問が生じることが懸念されました。しかし、マイクロソフトの支援によってこうした懸念を払拭することができたと、小谷氏は笑顔で語ります。

「新入生だけでなく、保護者も心から納得できるような説明が、Surface Pro 4の案内時には求められます。マイクロソフトのワークショップでは、一般のノートPCと同じ水準のキーボード入力ができること、そしてペンやカメラといったタブレットならではの要素が日々の学習をより充実させることを、学生サポーターへ伝達いただきました。するとワークショップを受けた学生の多くが、販売する立場ながら『Surface Pro 4がほしい』『今年の新入生は羨ましい』と感じたというのです。中には実際に購入した学生もいます。販売する側が本当によい製品だと理解して案内するのとそうでないのとでは、言葉の説得力がまるで違ってきます。マイクロソフトの支援は、高知大学が自信をもって選定したデバイスを多くの新入生に使用いただくうえで、非常に有用だったと感じています」(小谷氏)。

後期日程入試の合格発表日、学生会館の一室では販売方法をロール プレイングで最終確認する学生サポーターの姿が見られた。自らが「本当によい製品」だと理解して説明する学生サポーターの言葉は、説得力に満ちていた

4月の入学を控えた新入生に向けてPCを販売するようす

2017年4月以降、高知大学の学生はSurface Pro 4を日々の大学生活で利用しています。稼動開始からまだ間もないため、導入効果が明確に現れるまでにはまだ時間がかかるでしょう。ですが、学生サポーターの反応から、Surface Pro 4が今後高い効果を生みだすことを確信していると、村上氏は語ります。

「学生サポーターの反応は新入生の反応と同義といえます。Surface Pro 4には非常に前向きな意見が寄せられていますので、『学生が自ら進んで使用するデバイス』となることは間違いないでしょう。ICTに触れる機会が増加すれば、必然的に活用スキルも向上します。そこでは、アナログとデジタルが融合した、私たちも想像しないような活用の形が生まれるかもしれません。今後も社会とICTのかかわりは絶えず変化していくでしょう。Surface Pro 4とともに当学で学びを深めることで、時代の変化にも柔軟に対応できる人材が多く生まれることを期待しています」(村上氏)。

すきま時間にSurface Pro 4を活用し、共同で学びを深めるようす。今後、こうした場面が高知大学内のさまざまな場所で見られるようになるだろう

今後の展望
タブレット用途のICT活用を推進すべく、アクティブボードの導入を検討

Surface Pro 4の導入を機に、高知大学では今後、ノートPCに加えてタブレット用途のICT活用も盛んになっていくでしょう。赤松 氏はこれを見据えて、アクティブラーニングに対応したシステムを導入することで、タブレット用途のICT活用をいっそう推進していきたいと意気込みます。

「現在、各教室にアクティブボードを設置し、そこへ学生のSurface Pro 4から手書きの情報が送信できる、そしてそれを共有、集計できる、というしくみの構築を検討しています。これにより、アナログとデジタルが融合したあらたな発想がより生まれやすい環境を提供できるでしょう。これは授業にインタラクティブ性をもたせるという意味でも有用だと考えています」(赤松氏)。

全国の国立大学に先がけて、1997年からノートPCを必携とした授業を開始した高知大学。約20年かけて着実に浸透してきた「ICT = 手段」という同大学の文化は、2017年度に導入したSurface Pro 4によってあらたな形へと進化していくことでしょう。今後の高知大学の取り組みとその成果に、目が離せません。

「学生サポーターの反応は新入生の反応と同義といえます。Surface Pro 4には非常に前向きな意見が寄せられていますので、『学生が自ら進んで使用するデバイス』となることは間違いないでしょう。ICTに触れる機会が増加すれば、必然的に活用スキルも向上します。そこでは、アナログとデジタルが融合した、私たちも想像しないような活用の形が生まれるかもしれません。今後も社会とICTのかかわりは絶えず変化していくでしょう。Surface Pro 4とともに当学で学びを深めることで、時代の変化にも柔軟に対応できる人材が多く生まれることを期待しています」

国立大学法人 高知大学
教育研究部
自然科学系
理学部門
教授(理学博士)
村上 英記氏

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