今週はスタイルの基本的な使い方を紹介する。複雑な書式を何回も指定するときや、何ページにも及ぶ長い文書を作成するときには欠かせない機能となるので、その使い方や仕組みをよく把握しておこう。

スタイルとは?

これまでの連載でも紹介したように、文字や段落の書式を駆使すると様々なデザインを作成することができる。しかし、これには多少の難点もある。それは、いちいち書式を指定していくのが面倒なことだ。たとえば、前回の連載で紹介した見出しデザインの場合…、

画像を利用した見出しデザイン

箇条書きの書式で行頭文字に画像を指定し、さらに、文字の配置、段落罫線、ぶら下げ、行間などの書式を指定しなければならない。同じデザインの見出しが何回も登場する場合は、その都度、同様の書式指定を行う必要があるため、文章の入力より書式を指定する作業の方が大変になってしまう可能性もある。

このような場合に活用できるのが「スタイル」である。スタイルとは、文字や段落の書式を1セットにまとめたもので、フォントや文字サイズ、文字色といった「文字の書式」をはじめ、行間やインデント、段落罫線などの「段落の書式」を1クリックで指定できる機能である。

Wordで効率よく文書を作成するための最重要ポイントは「スタイルを上手に活用すること」と言っても過言ではないだろう。スタイルを使った経験がない人もいると思われるので、まずはスタイルの基本的な使い方から紹介していこう。

スタイルの適用

Wordには、いくつかのスタイルがはじめから用意されている。これらのスタイルはマウスでクリックして選択するだけで適用できる。たとえば、「引用文2」のスタイルを適用する場合は、以下のように操作すればよい。

まずはスタイルを適用する段落全体を選択する。

スタイルを適用する段落の選択

続いて、「ホーム」タブにある「スタイル」の項目で「その他」の▼ボタンをクリックするとスタイルの一覧が表示される。今回は「引用文2」のスタイルを適用するので、この中から「引用文2」を選択する。

スタイルの一覧の表示

スタイルの選択

選択していた段落に「引用文2」のスタイルが適用され、以下のように文字や段落の書式が変更される。

「引用文2」のスタイルを適用した段落

このように、簡単なマウス操作だけで文字や段落の書式を一括変更できるのがスタイルの特徴となる。ちなみに「引用文2」のスタイルには、

・文字飾り…………太字、斜体
・フォントの色……アクセント1(水色)
・インデント………左16.5mm、右16.5mm
・間隔………………段落前10pt、段落後14pt
・段落罫線…………下(細線、色:アクセント1、太さ:0.5ptなど)

といった書式が設定されている。「引用文2」のスタイルを適用すると、これらの書式が一括指定されるため、上の図のような結果を得ることができる。これがスタイルの基本的な仕組みとなる。

スタイルの作成

スタイルは大変便利な機能であるが、唯一の問題点は、Wordにはじめから用意されているスタイルの中に"使えるスタイル"が少ないことである。「見出し1」や「見出し2」といったスタイルも用意されているが、メリハリに欠けるため、見出しに適したデザインとは言い難いのが実情だ。

このため、実際にスタイルを活用する際は、自分でスタイルを作成して利用するのが基本となる。続いては、スタイルを自分で作成するときの操作手順を示しておこう。 まず、文字や段落の書式を指定する。この手順に特に変わった点はない。通常の手順と同様に文字や段落の書式を指定していけばよい。続いて、その段落全体をマウスで選択する。

書式を指定した段落を選択

この状態で「スタイル」の項目にある「その他」の▼ボタンをクリックし、「選択範囲を新しいクイックスタイルとして保存」を選択する。

選択した段落からスタイルを作成

すると以下のような画面が表示されるので、作成するスタイルの名前を入力する。今回は「質問見出し」という名前を付けてみた。「OK」ボタンをクリックすると、スタイルの作成は完了となる。

スタイル名の指定

スタイルの作成が済むと、スタイルの一覧に作成したスタイルが追加されているのを確認できるはずだ。

作成したスタイル

もちろん、自分で作成したスタイルも同様の手順で適用できる。たとえば、以下の図のように文字を入力してから段落全体を選択し、先ほど作成した「質問見出し」のスタイルを適用すると…、

自作スタイルの適用

同じ書式を簡単なマウス操作だけで指定することが可能となる。

自作スタイルを適用した段落

このように「書式の組み合わせ」をスタイルとして登録しておき、以降はスタイルを適用するだけで書式指定を完了させるのが効率の良いWordの使い方となる。「章見出し」「節見出し」「図の説明」……といった具合に、各文書で使用する「書式の組み合わせ」をスタイルとして作成しておくと、そのつど書式を指定する必要がなくなり、「文字の入力」と「スタイルの適用」だけで文書を作成できるようになる。

ちなみに、スタイルは文書(.docxファイル)ごとに記録される設定となるため、作成したスタイルが他の文書に影響を与えたり、Wordそのものの設定が変更されたりすることはない。よって、気軽に試してみることが可能である。スタイルの仕組みをよく理解できない方は、実際にWordを操作しながら色々と研究してみるとよいだろう。