新型コロナウイルス感染拡大の影響により、さまざまなシーンで今までの「当たり前」が通用しなくなった。ビジネスの世界も例外ではなく、多くの企業が対応に迫られた結果、図らずも働き方改革が普及し始めたと言える。

そうした状況のなか、働く場所/時間を社員が自由に決められる制度「WAA(Work from Anywhere and Any Time)」を2016年7月よりスタートしていたユニリーバ・ジャパンは、スムーズに緊急事態宣言時の勤務体制を整えることができたという。

6月10日に開催されたWebセミナー「マイナビニュースフォーラム 働き方改革Day 2020 Jun」では、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役 人事総務本部長 島田由香氏が、4年間のWAAからの学びとコロナ禍による在宅勤務で得た気づきについて紹介した。

あなたがオフィスに戻る理由は何か?

働き方改革とは「生き方を決めること」であるとする島田氏。コロナ禍を受け、「在宅勤務が2週間続いたころにはおかしくなるかと思った」という本音を吐露するとともに「改めて『自分にとって大切なことは何か』『自分の人生はこうしたい』ということを考えるきっかけになった」と話す。

そして島田氏は、私たちが実践すべきこれからの働き方について「MOMD(みんな・オフィス・戻っちゃ・ダメ)」というキーワードを紹介。「今はせっかく在宅勤務で学んできたことを活かせる時期であるという認識を持ってほしい。これからは在宅勤務でオンラインを活用する働き方がベースになる」とした上で、今後の働き方は、「WAAが当たり前になってくる」と説いた。

WAAとは、時間と場所を社員が自由に決められる働き方のこと。例えば平日の日中に自由に休憩時間を設け、通院や家の用事、スポーツ/ジム、子どもの学校関連イベント、両親や子どもの介護/お世話をしたりすることができる。在宅勤務や時差通勤により、通勤時間の割愛/通勤ラッシュの回避も可能だ。特に島田氏は、通勤時間がなくなることには大きな意味があるという。

「満員電車に何の疑問も持たずに乗っている人は、『仕方がない』『やらなければならないことだから』と自分に言い聞かせてしまっているだけ。満員電車で通勤をすることは、エネルギーや感情の無駄です。コロナ禍をきっかけに在宅勤務を経験したり、オフィスで働かないという選択肢に気づいたりした方も多いと思います。これを機に、通勤がなくなることで生まれた時間とエネルギーを何に使うか、自分がオフィスに行く理由は何か、改めて考えてみてほしいと思います」(島田氏)

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役 人事総務本部長 島田由香氏

現在ユニリーバでは、グローバル全体の指針である社員1人1人の「健康」「安全」「Wellbeing」を意識し、通勤形態やオフィスのレイアウトなども含め、どうやってオフィスに全員が戻るかではなく、オフィスに全員が戻らない前提のなかでどのように働いていくのかを考えているところだという。

WAAを成功させる5つのカギ

ユニリーバ・ジャパンが2017年に実施した社内アンケートでは、回答者の3割が生産性が30%向上した、7割がポジティブな変化があったと感じているという。具体的には「より効率的で幸せな働き方を考えるようになった」「以前よりも日々をどのように過ごすのか? を自分の意志で決めている実感がある」などという声が寄せられたとのことだ。

働き方改革の実践は、ビジョンからスタートすることが重要だとする島田氏。ユニリーバでは「よりいきいきと働き、健康で、それぞれのライフスタイルを継続して楽しみ、豊かな人生を送る」をWWAのビジョンに掲げていると紹介。そして、WWA成功のカギとして、次の5つの項目を挙げた。

  1. ビジョンからのスタート
  2. トップのコミットメント & Being
  3. Growth Mindset + Risk Taking
  4. テクノロジー
  5. 仕事の明確さ

「リモートワークでは、部下やチームメンバーがちゃんと仕事をしているかどうか心配する人もいますが、WAAにはパラダイムシフトが必要です。心配をベースにした社員管理をしていくのではなく、信頼をベースとして個人に委ね、任せていくというマインドに変えていってほしいと思います」(島田氏)