クラウド会計ソフトなどを提供するfreeeが12月17日、東証マザーズに上場した。公募は543万5200株。公募価格は2000円で初値は2500円。新たに100億円以上の資金を調達している。

東京証券取引所でマザーズ上場を祝うfreeeの従業員

普段は各社の株価が表示される電光掲示板にはfreeeの上場を祝う文字が

今回の上場は、「国内SaaS企業として初めてのグローバルIPO」と発表しており、新規株式のほとんどが海外投資家に向けたものだという。背景として、昨年夏からSaaSビジネスをよく理解する北米のベンチャーキャピタルへIR活動していたことを挙げており、その理由についてCFOの東後 澄人氏は「今後の事業の成長に向けて良いフィードバックがもらえると考えたため」と説明する。

また、CEOの佐々木 大輔氏は、今回のグローバルIPOについて「SaaS銘柄を分析している企業に日本のマーケットへ参入してもらうきかっけになれば」とコメント。「国内SaaS市場が盛り上がっていけば、当社もメリットを享受できるはず」と相乗効果に期待を寄せた。

freeeの事業概要を紹介する佐々木 CEO

 国内シェア55%、年2倍以上の成長

SaaS型の会計ソフトとしてスタートしたfreeeだが、現在は「人事労務管理」や「会社設立」なども手掛けて、クラウドERP企業を標榜している。ターゲットはあくまで中堅・中小企業。「スモールビジネスがテクノロジーを活用して大企業よりも強くなる」(佐々木氏)ことを目指している。

収益の9割がサブスクリプション売上という同社。年平均で2倍以上の成長を遂げており、2020年6月にはサブスクリプションで57億7400万円の売上を見込む。提供サービスのうち最も強い会計に関しては、国内クラウド会計サービス市場の55%のシェアを誇るという。

サブスクリプション売上は年平均2倍で成長中

国内シェアは55%に上る

自動化機能でLTV向上へ

さらなる収益性の拡大に向けては、顧客1社あたりのLTV(Life Time Value)の増大が課題。そのために、顧客満足に繋がる要因を常に分析していると言い、結果として「業務の自動化」と「リアルタイムの経営可視化」が因果関係が大きいとした。

とりわけ自動化を重視しており、その利用率を事業運営のKPIに置いている。会計においては、見積書・請求書の発行・取込みはもちろん、銀行口座の入金確認や未払いの督促などもほとんど人手を介することなく行える。POSレジと連携したり、クレジットカード明細やレシート写真を取り込んだりすることも可能。各明細を適切な勘定科目にAIが仕訳する機能も2016年に特許を取得している。

自動化を進めるためのAPI連携やプラットフォーム化にも力を注いでいる。すでにfreeeアプリストアには50を超えるアプリケーションが掲載されている。

freeeアプリストアには50以上のアプリが並ぶ

佐々木氏は、こうした技術を支える従業員と社風にも言及。「業界では従業員エンゲージメントの高い企業として知られる」とアピールしたうえで、従業員全員で議論し作成した7つの価値観・指針を大切にしていることなどを明かした。

freeeが大事にする価値観

調達資金の用途は、当面の課題である顧客LTVの上昇に向けた取り組みを挙げる。特に開発とマーケティングに力を入れていく方針だ。一方で、今年リリースした「資金繰り改善ナビ」のように、freeeのデータを使った別切り口のサービスなども進めていく意向を明かした。

佐々木CEO(左)と東後CFO(右)