前回は、自宅から働く環境を快適にするために、業務用アクセスポイントを選ぶポイントをご紹介しました。今回は、“無線がつながりにくい”といったトラブルを想定し、“こんな機能があればより便利!”となるオプション機能について考えてみたいと思います。

無線接続に関して、“つながって当たり前”という大前提の認識をお持ちの方が大半かと思います。ですが有線接続、無線接続を問わず、実はネットワークにトラブルはつきもので、身近な例を挙げると、“無線がつながりにくい”、“なんとなく通信が遅い”といったトラブルを経験したことのある方も多いのではないでしょうか?

アクセスポイント単体でこれらの問題を解決することはなかなか難しいですが、製品によっては問題箇所の候補を絞っていくことは可能です。いくつかのケースを想定し、役立つ機能を紹介していきます。

無線接続しにくい&つながらない

“気付いたら無線接続が途切れている”、“端末から無線接続しようとしてもなかなか無線に繋がらない”といったケース、経験したことはないでしょうか?

このようなケースでは、1台のアクセスポイントに接続されている端末数が多くなりすぎたことが原因となる場合があります。家庭用向けアクセスポイントでは、推奨される接続台数が数台というものもありますが、みなさんの家庭では普段、何台の端末が無線接続されているでしょうか?

在宅勤務を想定した場合でも、業務で活用する端末だけでなく、プライベート活用の端末や、家電、IoT機器と無線接続される端末が気付かないうちに増えてきています。まずは普段、アクセスポイントに何台の端末が接続されているか、簡単に確認できる機能があると便利です。無線への接続ができないとき、接続されているクライアントの数を普段と比較することで、1台のアクセスポイントへ接続されているクライアントの数に起因したトラブルなのか推測することが可能になります。

  • まずは接続端末数や平均的な通信量をぱっと把握

  • 接続されている端末それぞれでどの程度通信を行なっているかを深掘りして確認

ときどき通信が遅くなる

インターネットに関するトラブルは、インターネット網や活用しているサービス側の問題、マンション側の問題や自宅のLAN側の問題など、原因となりうる要素が多々あります。

そんな中、自宅LAN側で無線に関する部分での問題箇所を絞っていく作業では、「どのような通信が流れているか」といった情報を知ることが最初の一歩になるかと思います。通常接続されるクライアントの数に加え、流れているトラフィックまで確認できるアクセスポイントであれば、調子が悪かった時間帯を確認することで、“どの端末のどんなトラフィック量が増えてことに原因がありそう“といった細かい部分まで、LAN側のトラフィック量に起因したトラブルの推測が可能です。さらにここまであたりをつけていれば、接続されている端末ごと、もしくは、使っているアプリケーションごとで通信量に制限を付与し、解決することができるかもしれません。

  • ネットワークの中でどのようなアプリケーションが活用されているか、アプリケーションごとの通信量や利用端末を確認

  • アプリケーションを利用している端末や通信の多かった時間を深掘りして確認

  • 必要に応じて特定アプリケーションの通信上限を設定

アクセスポイントより先のネットワーク環境の影響を確認

“クライアントからは無線のアイコンが見えており無線接続できているが、自宅内、もしくは、マンション/オフィス共有部に設置されているルータやモデムに問題がありインターネットに接続できない”という、なかなか原因を見つけることが難しいケースもあるかもしれません。接続クライアントや通信状況だけではなく、そもそもアクセスポイントやルータなど、自宅内にあるネットワーク機器から、インターネットへの接続ができるのかを確認できる機能があるととても便利です。

例えばマンションでは、見落としがちな不定期に実施される共有分のメンテナンスにより、マンションインターネットの接続断が起きたりします。こんなケースでは、アクセスポイント自体のインターネット接続を見ることで、アクセスポイントに問題があるのか、それともネットワーク環境の問題かどうかを簡単に見分けることができます。

  • アクセスポイントから指定したサイトへの通信を確認し、アクセスポイント自体のインターネット接続状況を確認

今回は、「こんな機能があると便利」というものをいくつか紹介しましたが、記載した内容は、だれでも簡単に使いこなせなければ意味がありません。Meraki Goシリーズでは、これらの機能もスマホのアプリで簡単に確認していくことが可能です。

スマホのアプリで活用する大きいメリットの1つとして、特にトラブルの際、無線接続ができない状況でも、スマホ自体は4G/5Gの回線網を活用できる点もあげられます。アクセスポイントからインターネットへの接続が途切れた際や、ネットワークの通信量が一定の閾値を超えた際にアラートとしてE-mailによる通知やスマホのPush通知で知らせてくれる機能もあり、ネットワークに強くない方でも、お手軽管理者になれます。

ここまで2回の投稿では、在宅勤務を快適にする業務用アクセスポイントの選ぶポイントや便利な機能をご紹介しました。次回は、アクセスポイントだけでなく在宅勤務で役に立つネットワーク機器全般について考えてみたいと思います。

著者:冲中 恒雄


シスコシステムズ SMB・デジタル事業本部 ビジネス ディベロップメント マネージャ
2011 年 シスコに新卒入社。
入社後はシステムズ エンジニアとして、主に企業向けのネットワーク運用管理全般および製品を担当。
2016年よりビジネス開発担当として、中小企業向けの市場開発に奮闘中。