一言のメッセージを共有するサービス「Twitter」は、有益な情報もそうでない情報も、ランダムに次々と送られてくるので、情報整理という観点からすると難敵といえるでしょう。今回はTwitterの情報を整理するテクニックを紹介します。

よくある問題:プッシュ型情報取得は便利だが

本連載をお読みいただいている方には先刻ご承知の通り、筆者の考えでは、ネットからの情報は極力「プル型」で取ってきたいと考えます。インターネットに対して受け身でいても、あまり効率的に欲しい情報にありつけないように思われます。その理由はよく言われている通り、ネット上にはあまりに情報のバラエティが富みすぎていて、自分に最適の情報がやってくるように思われないからです。たとえ、フィルタリングを通してもです。   それでも、プッシュ型の情報源と無縁でいられるわけではありません。その中でも代表格が、メールです。

私はメールもなるべくプル型に近い形にしたいので、ポップアップさせたりは決してしませんし、見る時間が来るまでは基本的にチェックしません。それでも、メールがプッシュ型であることは、間違いありません。受信しないメールなど、意味がありません。

 

同じコミュニケーションツールでありながら、メールよりいっそうプッシュ型に近いものとして、Twitterがあるでしょう。本コラムでは全くと言っていいほど、この種のものを取り上げてきませんでしたが、そうは言っても筆者もTwitterをまるで使わないわけではありませんし、非常に有益な情報をいただくこともありました。

 

ただ、Twitterに代表されるランダムなタイミングで情報が「降ってきてしまう」コミュニケーションツールというものは、結構扱いが難しいものです。操作自体はもちろん容易ですし、概念も簡単ですが、楽しみたいのか、役立たせたいのか、何か新しい発想を得たいのか。それらすべてが混ぜこぜになっているようなツールのため、何をしたいのかが自分でもよくわからないうちに、時間をたくさんつぎ込んでしまうことが少なくないのです。

 

そのため私自身、いったんTwitterから身を引いてみたことがあります。ブログ投稿から自動的に転送される機能は放ってありましたが、自分では一切Twitterをチェックしていませんでした。とはいえ、放ってあった自動転送機能を切らないとと思っていたことや、やはりネットでよく話題になるツールのことは気になります。メール、RSSなどとともに、こうした「プッシュ型情報源」について、もう一度考え直してみようと思いました。

 

ライフハック:Tweet Deckを試してみる

いろいろと情報に通じている友人や、セミナーなどの細かい情報をまめに「つぶやいて」くれる人などもいるので、Twitterをモニターしておくというのは大変便利である一方、ずっとTwitterを見ていたのでは仕事になりません。

それに、Twitterの悩ましいところは、たくさんの情報源となってくれる「人」を追加するほど便利になる一方、そうすると何が何だかわからなくなっていきます。ちょうど、メールがあふれかえった受信トレイが使いにくいように、「つぶやき」満載のTwitterでは、当面注目しない情報満載になってしまって、扱いようがなくなるのです。

そういう人のために、Tweet Deckという便利なソフトがあります。これは、Twitterに登録している「人」を、いろいろなグループに分けることができるというソフトです。

自分で設定した「グループ」ごとにTwitterの「人」を分類できる

このソフトを使えば、グループごと、レスポンス、ダイレクトメッセージなど、いろいろな観点からTwitterを一望できますし、特定の話題の流れもつかみやすくなります。

たとえば、私は自分自身だけ抽出して、これを一種の「タイムログ」のバックアップとして使っています。今、TwitterはiPhoneなど、いろいろな投稿先を持っていますから、手元にPCがない環境でのメモや行動記録を取るのに使いやすいのです。

自分だけを抽出したグループ

さらに、ちょっとしたことですが、ソーシャルネットワーキングにありがちな悩みとして、一度登録した人のことは、あまり登録から外したくないという心理が働いてしまいます。ただ、そうやっていると、登録された人の数が増える一方になってしまって、それが原因でTwitterをチェックしたくなくなったりもします。これはいかにも残念です。

しかし、このTweet Deckさえあれば、わざわざ登録した人を「外す」必要はありません。特定のグループに登録しなければよいのです。つまり、つぶやきが投稿されても、目に入ってこなければいいわけです。情報というものの価値は人によって様々なので、こうした取捨選択はやむを得ないでしょう。

まとめ:Tweet Deckに見る「情報源」ハックス

このTweet Deck方式は、やってみると大変便利です。グループの入れ替えや表示位置の変更など、ちょっとしたことが直感的にできるところもよくできています。

基本的な発想は、いくつかの情報源をセットにして、他の情報源から区分けするというところにあるでしょう。情報源ごとに分類するのは、これまでもGmail、RSSリーダーなど、ごく当たり前のやり方です。誰から来たメールか、どのブログにあがっているエントリかで分類する、というやり方です。

しかし、いくつかの情報源を簡単に組み合わせて、それを随時変更するというのは、そう簡単にはできません。少し手間をかければ、RSSリーダーなどでもフォルダ分けなどでできますが、やってみると結構面倒くさく、こうしたことはかなり容易にできないと、いつしかやらなくなってしまいます。

それに、RSSリーダーなどを使っていて「フォルダでまとめ」ますと、「情報のセット」はすぐにそれとわかるものの、まとまってきているセットの中の、一つ一つの情報源は、見えにくくなります。この点も、アイコンで容易に識別できるTweet Deckはよくできています。