エムニは11月6日、ユキグニファクトリーと共同で、マイタケのパック詰め工程を対象とした「動画分析AI」の実証実験を2026年9月より開始したと発表した。同実験では、作業動画から工程ごとの作業時間を割り出すとともに、熟練者の動作の要点を言語化し、技能伝承に活用できるかを検証する。

作業工程を自動で分解し、作業時間を計測

ユキグニファクトリーは、900gを超える大きな株に育てたマイタケを「雪国まいたけ極」ブランドで販売している。パック詰め工程では、株をカットして50gから500gまでの複数の商品に加工する。

マイタケは部位によって味わいや食感が異なり、株の形や茎の付き方も一つ一つ異なる。このため、部位ごとの味わいや食感をバランスよく収め、見栄えよく仕上げるには、刃を入れる位置を判断する熟練者の技術が必要となる。

一方、こうした手さばきや判断の要点は言葉にしにくく、指導内容が指導者の経験に左右されるという。また、作業者の習熟度を測るには、動画を複数の工程に分けて所要時間を計測する必要があり、人手による作業負担も課題となっていた。

今回使用する動画分析AIは、人が作業の正解を定義したり、動画内の作業区切りを記録するアノテーションを行ったりすることなく、AIが作業工程を分解して各工程の時間を計測する。実証実験では、人による計測と同等の精度を得られるかを確かめる。

  • 匠の技をAIが抽出し解析

    作業動画を撮影するだけで匠の技をAIが抽出し解析

同等の精度を確認できた場合は、より多くの作業者を継続的に測定し、習熟度の推移や指導の効果を数値で確認できるようになるとしている。熟練者との作業時間の差が大きい工程を特定し、対象を絞った指導への活用も想定する。

熟練者の動作を言語化し、教育利用を検証

もう一つの検証対象は、熟練者がマイタケを見極めてカットする技術の形式知化である。事前検証では、熟練者のカット方法や特徴的な手の動きなど、人が気付きにくいポイントを作業動画からAIが抽出し、言語化できることを確認したという。

  • 熟練者の手技を解析し形式知化

    熟練者の手技を解析し形式知化

実証実験では、複数の熟練者の動画を分析した場合にも安定した結果を得られるかを確認する。併せて、AIが言語化した内容を教育資料として利用できるかも検証する。エムニとユキグニファクトリーは、指導方法のばらつきや熟練者の指導負担を抑え、多様なバックグラウンドを持つ作業者にもノウハウを伝えられる仕組みの構築を目指す。

今後は、実証実験の成果を、作業者ごとにフィードバックを提供する教育システムなどに応用するほか、蓄積した熟練者の技能を、ロボットと連携するフィジカルAIが動作を学ぶための基盤として活用することも予定している。

エムニは、今回検証する技術について、マイタケのパック詰めに加え、溶接や組み付け、目視検査など、人の見極めが品質を左右する工程への応用も見込んでいるという。