SCIENは10月15日、製造業の熟練者が持つ判断基準や暗黙知を、AIが活用できる「記憶」として蓄積するプラットフォーム「EnCite OS(エンサイトオーエス)」の提供を開始した。図面確認や生産計画、品質判定などの個別業務から導入し、蓄積した知識を関連する業務や部署でも活用できる基盤への展開を目指す。
熟練者の判断過程をAIが参照できる形で蓄積
製造現場には、手順書や図面だけでは伝えきれない知識がある。例えば、検査で欠点を許容するか、生産計画を立てる際に設備や人員のどの条件を優先するかといった判断には、熟練者の経験が反映される。
こうした判断が特定の人に集中すると、異動や退職に伴って知識を引き継ぐことが難しくなるほか、同じ業務でも担当者によって判断が異なる場合がある。
EnCite OSでは、熟練者が何を確認し、どの条件を重視して、どのように判断したかを整理。既存の資料や業務データに加え、熟練者へのヒアリングや実際の判断結果を基に、業務固有の判断基準をAIが参照できる形で蓄積する。
蓄積した「記憶」は、業務を支援するAIアプリケーションから参照できる。例えば、品質判定に使う基準を検査業務で活用したり、判断理由を若手担当者へ伝えたりするなど、複数の業務への展開を想定しているという。
設計、生産計画、加工、品質管理などでの活用を想定
対象となる主な業務は、製造業における設計、製造、品質管理など。設計では図面の確認項目や設計時に参照する判断基準を整理し、生産計画では設備能力、人員、休止時間などを考慮した計画立案を支援する。
加工では、熟練者の知識を踏まえた加工プログラムの作成を支援する。品質管理では検査員ごとに差が生じやすい品質判定基準を整理し、品質保証では不具合や問い合わせの分類、対応時に参照する知識を蓄積する。
導入時は、企業ごとの課題に応じて対象業務を設定する。まず課題が明確な一つの業務について必要な「記憶」と活用方法を検討し、運用を通じて知識を蓄積する。その成果を確認しながら、関連する工程や部署への展開を図るとしている。
