この半導体ニュースのまとめ

・電子部品の調達で影響を受けた回答者の52.5%が、1年前より10%以上のコスト上昇を経験
・影響を受けた回答者の91.3%は、メモリ以外の電子部品でも価格上昇や納期長期化に直面
・全回答者の62.1%が、将来供給減や生産終了のおそれがある使用部品を十分に把握できず

電子部品・半導体分野のデータ活用や調達DXを支援するKUMU Worksは10月27日、「電子部品の需給逼迫の影響に関する実態調査」の結果を発表した。

調査は10月7日から8日にかけて、半導体・電子部品を組み込んだ製品を製造する企業で、調達・購買、設計・開発、品質保証、生産管理、経営に携わる20~60代の男女330人を対象に、インターネットを通じて実施された。回答者全体のうち、直近1年間に何らかの電子部品で価格上昇や納期長期化の影響を受けた割合は48.5%だった。

  • 直近1年間に何らかの電子部品で価格上昇や納期長期化の影響を受けた割合は48.5%ら

    直近1年間に何らかの電子部品で価格上昇や納期長期化の影響を受けた割合は48.5% (出所:KUMU Works)

メモリ以外にも需給逼迫が波及

価格上昇や納期長期化の影響を受けた回答者のうち、メモリ以外の電子部品を1種類以上挙げた割合は91.3%となった。

最も影響が大きかった部品では、DRAMやNANDフラッシュメモリなどの半導体メモリが28.8%で最多となった。次いでマイコンが10.6%、MOSFET、IGBT、SiCなどのパワー半導体が10.0%だった。

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    直近1年間で、もっとも影響を受けた電子部品の品種 (出所:KUMU Works)

メモリ以外を挙げた回答を合計すると71.3%となり、電子部品の需給逼迫がマイコンやパワー半導体、プロセッサ、受動部品などにも広がっている状況が示された。

AIサーバやデータセンター向けでは、高性能なメモリや演算用半導体(ロジック)だけでなく、電源ICやパワー半導体、積層セラミックコンデンサ(MLCC)なども必要となる。部品メーカーが高付加価値品へ生産能力を振り向けることで、一般的な産業機器や民生機器向け部品の供給にも影響が及ぶ可能性がある。

過半数で調達コストが10%以上上昇

価格上昇や納期長期化の影響を受けた回答者へ調達コストの変化を尋ねたところ、「10%以上20%未満上昇」が21.9%で最多となった。

「20%以上30%未満上昇」は18.1%、「30%以上上昇」は12.5%で、合計52.5%が1年前から10%以上のコスト上昇を経験したと回答した。「5%以上10%未満上昇」も20.6%を占めた。

  • 1年前との調達コストの変化

    1年前との調達コストの変化 (出所:KUMU Works)

一方、電子部品の価格上昇分を自社製品の価格へ「一部のみ転嫁できている」とした回答は42.5%、「転嫁できていない」は20.6%となった。

両者を合わせると63.1%となり、6割強が部品価格の上昇分を十分に製品価格へ転嫁できていない状況が示された。「大部分を転嫁できている」とした回答は19.4%だった。

  • 電子部品の価格上昇の製品への転嫁割合

    電子部品の価格上昇の製品への転嫁割合 (出所:KUMU Works)

AI向けへの生産シフトと原材料高を要因視

価格上昇や納期長期化の背景として最も多く挙げられたのは、「AI・データセンター向けへの生産能力・設備投資の振り向け」と「中東情勢などによる原材料・エネルギーの不足・高騰」で、いずれも38.1%だった。「物流コストの上昇・物流の混乱」も32.5%を占めた。

AI向けへの生産シフトだけでなく、原材料、エネルギー、物流など複数の要因が重なり、電子部品の価格と納期へ影響していると認識されていることがうかがえる。

  • 直近1年間における電子部品の価格上昇や納期長期化の背景要因認識

    直近1年間における電子部品の価格上昇や納期長期化の背景要因認識 (出所:KUMU Works)

6割以上が将来の供給リスクを十分に把握できず

全回答者へ、自社製品で使用する電子部品のうち、AI・データセンター向けへの生産能力のシフトによって、今後供給減少や生産終了のおそれがある部品をどの程度把握できているかを訊ねたところ、「あまり把握できていない」が33.3%、「まったく把握できていない」が28.8%となり、合計62.1%が十分に把握できていないと回答した。

「あまり把握できていない」と「ある程度把握できている」がそれぞれ3割程度を占めており、企業によって供給リスクの把握状況に差があることも示された。

  • 自社製品に利用している電子部品の今後の調達状況に対する見通し

    自社製品に利用している電子部品の今後の調達状況に対する見通し (出所:KUMU Works)

電子機器や産業機器は数多くの部品で構成されるため、1つの部品が供給停止となった場合でも、代替品の選定、回路や基板の変更、評価、認証のやり直しなどが必要になる可能性がある。

KUMU Worksは、価格や納期だけでなく、部品のライフサイクルや生産終了、サプライヤ、製造拠点などの情報を継続的に把握し、供給リスクへ備える必要性が高まっているとしている。

なお、今回の結果は製造業の部品担当者・経営層による回答を集計したもので、実際の市場価格や納期を部品別に調査したものではないことに注意が必要である。