NTTインフラネットとパスコは10月26日、社会インフラ管理の課題解決と市場拡大に向けた取り組みについて、基本合意書を締結したと発表した。両社の技術や顧客チャネルを組み合わせ、高精度3Dビジネスの創出、インフラ管理DXの促進、衛星活用ビジネスの拡大などに取り組む。
高精度3Dやインフラ管理DXなど4領域で協業
社会インフラの老朽化が進み、維持管理や更新需要の増加が見込まれる一方、技術者不足や財源の制約、技術継承などが課題となっている。また、インフラ管理事業者が保有する空間情報には、デジタル化の遅れや精度・形式のばらつきがあり、官民の管理主体が個別に情報を管理していることも効率化を妨げているという。
こうした課題を踏まえ、取り組みではNTTインフラネットが持つGIS(Geographic Information System:地理情報システム)やスマートメンテナンス技術、民間インフラ事業者向けのチャネルと、パスコの空間情報技術や自治体向けチャネルを連携させる。これにより、既存サービスの強化・拡張に加え、新たなサービスの創出を図る。
まず取り組むのは、高精度3Dビジネスの創出だ。具体的には、NTTインフラネットの高精度3D空間情報および「GEOSPACE 電子地図」と、パスコのMMS(Mobile Mapping System)による計測・処理技術を組み合わせ、高精度な3次元都市データを整備する計画だという。
高精度3D空間情報は、道路境界やマンホールなどの地物を、地図情報レベル500相当の高精度な座標データとして整備したもので、インフラ設備における相対的位置の基準点として活用される。一方、MMSは、3次元レーザー計測機とデジタルカメラを車両に搭載し、道路面や道路周辺の3次元座標データと連続カラー画像を取得する測量システム。両社は、これらを活用した新たなビジネスモデルの創出も目指すとしている。
インフラ管理DXの分野では、NTTインフラネットの「下水道スマートメンテナンスツール」と、パスコの自治体向けクラウドサービス「PasCAL for LGWAN」を連携させ、自治体向けの提供ビジネスモデルを拡大する。下水道スマートメンテナンスツールは、マンホールふたやマンホール、管きょなどの巡視・点検結果を、タブレットなどから地図上でデジタル管理するGISサービスである。
さらに、両社が開発したデータ整備支援ツールや地下情報管理技術を活用し、民間事業者や自治体が保有する図面のデジタル化事業の促進に取り組む。NTTインフラネットは、データのデジタル化や位置補正、空間データ処理などの技術を提供し、パスコは、道路やインフラ関連データの整備、台帳作成、AI活用、GISサービスに関する技術を担う。
熱赤外衛星やSAR衛星のデータも組み合わせ
衛星活用ビジネスでは、NTTインフラネットの熱赤外衛星および地理空間データと、パスコの合成開口レーダー(SAR:Synthetic Aperture Radar)衛星や光学衛星のデータを組み合わせる。特に、インフラメンテナンスと防災の分野における衛星データの新たな利用方法や、ビジネスモデルの創出につなげる考えだ。
両社はこのほか、それぞれが持つ技術やマーケティングチャネルを連携させる。今後はNTTグループ各社をはじめとする関係事業者への枠組み拡大も視野に入れ、新たな事業機会の創出に取り組む方針だという。