日本の2大産業が、先端技術の展示会「CEATEC 2026」「Japan Mobility Show Bizweek 2026」(会期:10月13〜16日、会場:幕張メッセ)を併催し、ヒト型ロボットのデモを競った。
目を引いたのは、AIを搭載した振興企業のロボット。中国企業が圧倒的なパフォーマンスを披露した。日本も“国産”を全面に出したものや、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクトがデモを行ったが、中国企業にくらべると地味に見えてしまう。
中国新興・LimX Dynamicsのロボットに人だかり
エレクトロニクス大手が集うCEATEC 2026で人だかりが絶えなかったのが、中国のスタートアップ・LimX Dynamics(深圳逐際動力)。2022年設立の同社は二足歩行ロボットを開発、製造しており、すでに日本市場でも営業活動を展開している。
用途別に“学習”済みの3製品があり、エンタメ向けの女性ロボット「ルナ」は身長160cmで人さながらの情熱的なダンスと、表現性の高いダンスをそれぞれ4分以上、続けて披露した。先進的な冷却装置を備えることで稼働時間を向上したという。「トラブルはでていない。学習にどれくらい時間をかけられるか、支援体制が大事」と技術担当者は話した。
実際に工場などへの導入を想定しているのは、6軸慣性計測装置(IMU)や加速度/角速度センサーそれにエージェントOS「LimX COSA」(Cognitive OS of Agents)を搭載した「オリ」。ロボット自ら自律的に考えて動くことができる。
また、複数のデータをまとめて処理しながら動作するマルチモーダル2足歩行ロボット「TRON」の特徴は、付け替え可能な車輪などの3種類の「足」があること。「TRON 2」は用途別に構成をかえられる2足歩行ロボットであり、双輪や人と同じ2足(足裏)歩行のほか、双腕だけの据え付け動作も可能。デモ機に手のひらを差し出すと位置を認識して、ケースからキャンディをつまみ上げてそっと載せてくれる。
日本勢の出展も。ハイランダーズ、NEDO、トヨタ、ホンダのロボットたちを振り返る
日本勢は2023年設立の東京大学発のスタートアップであるHighlanders(ハイランダーズ)が注目された。強化学習や機械学習を活用したロボット制御を強みとするだけに協業するアマゾン(AWS)ブースの一角で、国産ヒューマノイドロボット「N」をデモ。ボディは身長175cm、重さ75kg、カメラ7個(3種類)を装備する。48V電源を使い、連続2時間稼働できる。NVIDIAのロボット開発向けAIモジュールであるJetson Thor「T5000」を搭載していて、5本指のハンドを柔軟に操る。
AIは学習データが重要なだけに、「いかに自分たちで保有できるか」がカギとみる同社、「開発にはカネがかかるが、中国価格水準でないと売れない」と実情を打ち明ける。「ソフトで稼ぐしかないが、コピーされてしまうリスクも抱える。かつてのパソコン黎明期と似た状態」と、成長への端境期にあるようだ。
こうしたなか、同社が狙う市場は自動車業界だ。これから1〜2年かけて自動車製造工程をロボットに学習させ、膨大なデータをAWSのサーバーに吸い込んで活用する。部品のピッキングや搬送だけではなく、ヒト型ロボットでなければこなせない作業も結構多い、とみている。7月には、三菱自動車工業と量産化に向けた共同発表を行ったばかりだ。
CEATECでは、NEDOプロジェクトも「見まねでスケボーを体得!」するヒト型ロボットを実演した。国際電気通信基礎技術研究所と京都大学は人がスケボーに乗っているときの体の動かし方のデータを参考に、ロボット自身の動きを予測することでスケボを乗りこなせるようにした。この技術を活かして2040年頃、ヒト型ロボットが輸送や介護などの業務を一部代替できるようにする。
一方自動車業界が先端技術を展示する「Japan Mobility Show Bizweek 2026」では、トヨタ自動車がバスケットロボット「CUE(キュー)7」をデモ。本来双輪で走り回りドリブルやシュートを決めるのが得意だが、今回は静止したままだった。
本田技研工業は上半身だけの「アバターロボット」がスタッフとじゃんけん。人の能力拡張や時間の制限からの解放を目的として開発を進めている。遠隔地で自分の分身であるヒト型ロボットを操作するための多指ハンドが大きな課題としている。




