この半導体ニュースのまとめ
・TSMCの2026年第3四半期純利益は前年同期比68.7%増の7630億6000万NTドル
・2nmの売上高比率は前四半期から5ポイント増の8%、7nm以下は全体の79%を占有
・第4四半期は2nmの生産拡大を背景に売上高523億~543億ドルを予想
TSMCが2026年第3四半期の決算を発表した。それによると、連結売上高は前年同期比50.9%増、前四半期比17.6%増の1兆4942億4000万NTドル、純利益は前年同期比68.7%増、前四半期比8.0%増の7630億6000万NTドルとなり、純利益は6四半期連続で過去最高を更新したという。ちなみにドル換算では、売上高は前年同期比41.2%増、前四半期比16.2%増の467億2000万ドルとしている。
2nmの売上高比率が8%まで増加
同四半期の売上高比率をプロセス別に見ると、2nmが8%、3nmが33%、5nmが28%、7nmが10%で、7nm以下の先端プロセスで全体の79%を占めた。中でも2nmは前四半期比で5ポイント、3nmも3ポイント増となり、2nmの採用が今後も拡大していくことが期待される。
また、最終用途別では、HPCが68%、スマートフォン(スマホ)が21%、IoTと自動車が各4%、デジタルコンシューマエレクトロ二クスが1%となっている。前四半期比では、自動車が23%増となるが、総売上高に占める割合はHPCも同22%増といったこともあり、4%のままで変化はない。
地域・国別では、北米が79%でトップ。次いでアジア・太平洋が10%、中国が5%、日本ならびにEMEA(欧州・中東・アフリカ)が3%としている。
第4四半期売上高は前四半期比12〜16%増の予測
同社は、第4四半期の見通しについて、2nmプロセスの生産拡大を含む、最先端プロセス技術に対する旺盛な需要に支えられるとする予想のもと、売上高を前四半期比12~16%増の523億ドル~543億ドル、1ドル=31.8NTドルの為替レート前提で粗利益率が65%~67%、営業利益率が56.5%~58.5%としている。
これを踏まえ、通期売上高についてもドルベースで前年比約44%増と予想している。また、設備投資については600~640億ドルとなると予想しているほか、2026年から2028年までの設備投資総額は過去3年よりも大幅に増加する見込みとしている。
世界規模で生産拡大を推進
TSMCの魏哲家(C.C. Wei)会長兼CEOは、決算説明会にて世界規模での生産拡大方針を示し、今後数年以内に世界中で20のファブを建設し、そのうち13ファブを台湾で建設する意向を示した。
同氏は、生産拡大の根拠について、「米国でのデータセンターの構築の進捗状況を確認するために独自の調査チームを米国に派遣し、米国の電力供給状況なども含めて調査しているが、 これまでのところフィードバックは良好で、クラウドサービスプロバイダ(CSP)は十分にデータセンターの新設や増設準備を整えていることを確認した。TSMCは、市場需要調査に基づいて生産能力増強計画を立て、需要を満たすための設備投資を強化している」と説明した。
こうした調査を踏まえた米国での生産拡大について、「アリゾナ州では、2番目のファブ建設が完了し、現在、設備の搬入と設置作業を進めており、2027年第3四半期に3nmプロセスを用いた量産を開始する予定で、従来計画よりも若干の前倒しとなる」とする。また、「米国の大口顧客向けに米国での生産能力拡大に注力しており、米国政府からも米国での生産能力増強の要望を受けている。そこで最近、アリゾナ州以外での事業規模拡大の検討を開始した。テキサス州はその1つで、すでに評価検討チームを派遣した」とし、台湾半導体サプライチェーン界隈に広まっていたうわさが本当であることを認めた。イーロン・マスク氏の率いるTerafabとの協業についても話し合いを進めており、その生産能力を活用できるかどうかを検討していることも認めつつ、「未だ協議中で結論は得られてはいないが、(一部で報道されているような)Terafabに協力する形ではなく、製造工場はTSMCが運営することを主張している。今日話せるのはここまでである」と述べるにとどめた。
2027年に2nmは生産倍増へ、1.4nmの試作も開始
このほか、2nm(N2)プロセスについては、「2025年第4四半期より量産を開始し、良好な歩留まりが実現され、順調に生産量を拡大させている。スマホ、HPC/AIからの需要に支えられる形で新竹と高雄の両拠点で複数段階に分けてファブ増設を実施しており、N2ファミリ技術の年間生産能力は2027年には2倍以上になると見込みである」と述べたほか、「A14(いわゆる1.4nm)技術の生産準備を進めている。リスク生産は2027年に向けて順調に進んでおり、量産も2028年より開始予定であるとした。
また、N3(3nm)については、「新ファブを台湾、米国、日本に建設中で、台湾では、台南科学園区の新ファブが2027年前半に量産開始予定のほか、台南の新ファブが2028年前半より量産開始を予定している。日本は、JASM第2工場(TSMC Fab23 Phase2)の計画が順調に進んでおり、2028年末からの量産開始を予定している」としている。
GFとの技術提携は後工程サプライチェーン戦略強化の一環
さらに、先般発表されたGlobalFoundriesとのCoWoS向けシリコンインターポーザ向け技術提携に関しては、「後工程サプライチェーンにおける全体戦略の一環としての提携。TSMCの最優先事項は、顧客がそれぞれの市場で成功できるよう支援することであり、現在、顧客は、前工程のみならず、後工程を含むすべての面で完全なサポートを望んでおり、後工程の不足を補うことを目的に提携を決めた」と説明している。
日本の経産省がTSMC熊本第2工場の3nmへの計画変更を認定
日本の経済産業省(経産省)は10月16日、TSMCの熊本第2工場(Fab23 Phase2)におけるN3世代製造計画を補助金対象として認定したことを発表した。従来、同工場では6~12nmプロセスを採用する予定であったが、2026年2月に3nmへと計画の変更を表明。これに伴い、当初計画の月産4万8000枚から、当面は生産枚数を月産6000枚に絞り、投資額も減らすとしており、第2工場への日本政府助成額は、当面7320億円から6451億5000万円へと減額されることとなる。
ただし投資額は, 従来予定の108億ドルから157億ドル超へと増える見通しで、経産省では、国内で3nmプロセス生産拠点を確保することは、日本のサプライチェーン強靭化や経済安全保障の強化に重要だとし、助成総額の増額を検討することにしているが、TSMCは「具体的な生産は市場需要に応じて段階的に増加させることとし、日本政府からの支援を前提に検討を進める」とコメントしている。



