この半導体ニュースのまとめ

・車載E/Eアーキテクチャ用半導体市場は2031年に360億ドルへ拡大
・100個を超えるECUを中央・ドメイン・ゾーンコントローラへ集約
・車載イーサネットや48V電源、eFuse、エッジAI関連半導体の需要が増加

仏Yole Groupは、自動車用電気・電子(E/E)アーキテクチャ向け半導体市場が、2025年の190億ドルから年平均11%で成長し、2031年には360億ドルへ拡大するとの予測を示した。

車載半導体市場全体も、2025年から2031年まで年平均31%で成長し、2031年に1600億ドルへ達する見通し。高価格な半導体の採用だけでなく、車両1台当たりの半導体数の増加が成長をけん引するという。

100個を超えるECUを少数のコントローラへ集約

従来の自動車では、機能ごとにECUを追加した結果、1台に100個を超えるECUと数kmの配線を搭載する場合があったが、SDV、ADAS、AIの普及とコスト・重量削減の要求から、自動車メーカーはそうして分散したECUを、中央、ドメイン、ゾーンのコントローラへと集約し始めている。

Yoleによると、TeslaはModel 3の配線をModel Sの半分に削減。RivianはECUを17個から7個へ減らし、BMWのNeue Klasseは配線を約600m削減するとともに、最大150個のヒューズをスマートeFuseへ置き換えている。

  • 2025年と2031年の自動車向けE/Eアーキテクチャ用半導体種類別売上高内訳

    2025年と2031年の自動車向けE/Eアーキテクチャ用半導体種類別売上高内訳 (出所:Yole)

プロセッサや車載ネットワークICの需要が拡大

集中型への移行により、AI演算を担う高性能プロセッサ市場は56億ドルから153億ドルへ拡大する見通し。ドメイン・ゾーン制御向け高性能MCUも成長が期待される。

車載ネットワークでは、CAN/LINからCAN FDやイーサネットへの移行が進み、関連IC市場は39億ドルから81億ドルへ倍増する見込み。従来型バスも低速・低コストの接続用途では残り、ゾーンゲートウェイが高速イーサネットとの変換を担う。

電力ネットワークも12Vから48Vへ移行する。車両の消費電力増加に対応しつつ、エッジ側では従来の低電圧系を残すハイブリッド構成が広がるとみられる。48V対応PMICやeFuseに加え、自動運転を支える冗長電源の重要性も高まる。

OEMが半導体開発へ直接関与

集中型E/Eアーキテクチャでは、ソフトウェアや半導体が車両性能と差別化を左右するため、自動車メーカー自身の開発関与も強まる。

TeslaとBYDは独自のゾーンコントローラやドメインコントローラを設計。BYD、東風汽車、長城汽車、SGMWはサプライヤと協力して独自MCUの開発に取り組み、StellantisとFoxconnは車載半導体企業SiliconAutoを共同で設立している。

自動車メーカーは半導体、コントローラ、ソフトウェア、アルゴリズムを担う複数の企業を直接選定し、システム全体を調整する役割を強めることになる。

中国OEMがゾーン型への移行をけん引

2031年にはドメイン型とゾーン型が世界の自動車生産の約74%を占めると予測される。中国OEMのゾーン型採用率は56%に達し、中国以外の18%を大きく上回る見通しだ。

中国ではMCU、SerDes、48V向けPMICを手掛ける企業も増えている。コスト競争力に加え、車載半導体不足をきっかけにサプライチェーンの自立性を高める動きが、新興企業の参入を後押ししている。

  • E/Eアーキテクチャを構成する中国半導体メーカー各社

    E/Eアーキテクチャを構成する中国半導体メーカー各社 (出所:Yole)

車載E/Eアーキテクチャの刷新は、ECUと配線を減らすだけでなく、自動車メーカーと半導体企業の関係、車載半導体市場の競争構造も変えることになりそうだ。