伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、東京電力ホールディングス、ストックマークは10月5日、生成AIを使った「原子力申請書作成支援システム」の概念実証(PoC)環境を、東京電力ホールディングスの原子力部門に導入したと発表した。申請書の作成・確認業務の品質向上と、担当者の負荷軽減を図る。

同システムの開発においては、東京電力ホールディングスが業務要件の整理と評価・検証を担当し、CTCが要件定義から技術検証、システム開発までを担った。ストックマークデータ構造化プラットフォーム「SAT」の提供と技術支援を担当した。

膨大な文書や図表を参照し、記載漏れや不整合の確認を支援

東京電力ホールディングスの原子力部門では、設備の設計や工事にあたり、計画などを行政機関に申請し、許可を受ける必要がある。申請書は複数の部門が関連文書や図表との整合性、記載漏れなどを繰り返し確認している。

申請文書は約42,000ページ、補足説明資料は約27,000ページに及ぶ場合もあり、膨大な情報を漏れなく参照して正確性を確保する必要がある。資料の品質を維持しながら、担当者の負荷を軽減することが課題だった。

開発中の原子力申請書作成支援システムは、生成AI/OCR(光学文字認識)/画像認識AIを組み合わせ、過去の文書や図表から関連情報を検索・参照する。申請書の作成段階から記載漏れや不整合の確認を支援し、後工程での確認や修正にかかる負荷の軽減を目指す。

  • 原子力申請書作成支援システムの活用イメージ

    原子力申請書作成支援システムの活用イメージ

機密情報を扱うためオンプレミス環境に構築、人が最終判断

システムには、ストックマークのデータ構造化プラットフォーム「SAT」を基盤とした検索拡張生成(RAG)技術を採用した。文書や図表をAIが扱いやすい形式に構造化し、検索した関連情報を生成AIの回答に反映することで、必要な情報を迅速に確認できるようにする。

機密情報を安全に扱うため、システムはオンプレミス環境に構築している。AIによる確認結果の妥当性や修正の必要の有無は、人が最終的に判断する。

3社は10月からシステムの有効性を評価し、その結果を踏まえて機能の強化・拡充を進める。今後は、東京電力ホールディングスの他部門や他の電力会社への展開も目指す。