【 農林水産省 】政府備蓄米21万トン買戻し 新米安値もコメ離れは加速

コメ余りの現状を受け、政府は昨年放出した備蓄米を買い戻す。2026年産米の収穫見通しが良好で、民間在庫量も豊富なことから、十分な供給量を確保できていると判断した。

 政府は、コメの供給不足に備えて100万トン程度を適正水準に備蓄している。「10年に一度の不作にも供給できる量」(農林水産省)とされ、毎年20万トン程度を買い入れる一方、5年程度保管すれば飼料用などに販売している。

 需給逼迫による米価の高騰で、政府は59万㌧の備蓄米を昨年放出した。

 ところが、コメの増産や消費者のコメ離れにより、今年6月末の民間在庫量は適正水準の180万~200万トンを大きく上回る243万トンに膨らんでいる。

 こうした状況を踏まえ、政府は供給不足になる状況を避けつつ、25年産米の21万トンを対象に買い戻しの手続きを進める方針だ。

 鈴木憲和農水相は9月4日の記者会見で「急激な需給変動を避ける」と述べ、需給状況等を見定めて、食料安全保障の観点から、備蓄水準を計画的に回復していく考えを示した。

「我々としては、供給不足が生じる見込みが低い環境下で買戻し、備蓄水準の回復について、計画的に行っていくということが何よりも重要であると考えている」(鈴木農水相)

 高値が続いた米価だが、年明け以降は下落傾向に転じている。農水省によると、8月31日~9月6日の週のコメの販売価格は5キログラムあたり3003円で、前週より109円(3.5%)、前年同期比では1152円(27.7%)も安かった。

 JAが集荷の際に農家に支払う概算金(仮払金)は、各地で前年より大幅に値下がりしている。取引関係者の間でも、コメの需給緩和による価格低下はしばらく続くとの見方が根強い。例えば米穀安定供給確保支援機構によると、向こう3カ月の米価水準を示す指数は前月に続いて18となり、基準の50を大きく下回っている。

 25年度の食料自給率は、カロリーベースで前年度比1ポイント減の37%だった。国産米の価格上昇によるコメの消費量が減り、主食用米の民間輸入量も増えたことが影響しているという。「令和のコメ騒動」を経てもなお、政府は米価安定の難しいかじ取りを迫られている。

【 企業と株主の関係を考える 】日比谷パーク法律事務所代表・弁護士・久保利英明 × 早稲田大学名誉教授・上村達男