厳しい残暑が続く8月に早くもインフルエンザが全国的な「流行シーズン」に入った。厚生労働省は8月28日、17~23日の1週間に全国の定点医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数が、1医療機関当たり1.11人となり、流行開始の目安である1を超えたと発表した。前年から流行が続いた2023年を除くと感染症法が施行された1999年以降、2番目に早いシーズン入り。厚労省は、小まめな手洗いなど身近な対策を呼びかけている。
全国約3000の定点医療機関からこの1週間に報告された感染者数は4094人で昨年同期の1183人を大幅に上回った。都道府県別では沖縄県が4.43人で最も多く、次いで岩手県2.10人、青森県2.08人、神奈川県1.99人、埼玉県1.83人、千葉県1.80人、茨城県1.76人、新潟県1.65人、鹿児島県1.58人、東京都1.49人など。北海道も1.12人で、沖縄など南西部だけの局地的な夏季流行ではなく、全国の広い地域で患者が報告された。
インフルエンザは例年、12月から3月ごろに流行する傾向にある。昨年は9月下旬に流行入りが発表されている。多くの学校で夏休みが終わらない8月中の流行入りは異例と言える。最も流行入りが早かったのは2009年。この年は世界的に「新型インフルエンザ」が大流行した年で、通常の季節性インフルエンザとして考えると、8月の全国的な流行入りは極めて珍しい。
厚労省はこの異例なほど早い時期の流行に警戒しつつ、今後の報告感染者数の推移を注視する方針だ。同省は再び1.00を下回る可能性もあるとしながら、過去の例では一度定点当たり報告数が1.00人を超えた場合、多少の減はあってもその後、冬場のピークへ向かう例が多いことから警戒を呼びかけている。
同省は今回どの型のインフルエンザウイルスが広がっているかについては明らかにしていない。インフルエンザウイルスには主にA型とB型があり、近年はA香港型(AH3型)、B型ビクトリア系統などが流行している。昨シーズンに流行したのはA香港型が中心で、感染力が強く、幅広い年代が感染した。
東京都感染症情報センターによる8月2日までの約1年間のウイルス検出累計756件の分析では、約58%がA香港型だった。しかし、今シーズン(2026~27年)の流行型を判断するためには今後、全国的な病原体分析を待つ必要があるという。
ワクチン株は世界的なウイルスの流行状況や抗原性の変化などを基に、流行シーズンに先立って選定されている。流行の型が判明する前に、既に今秋から使用されるインフルエンザワクチンの製造株は決まっている。厚労省は6月にA型2種類とB型1種類で構成する「3価ワクチン」の製造を決定した。
また、なぜ今年は流行入りがこれほど早いのかの原因も不明だ。インフルエンザは日本では主として冬に流行するが、世界的に見れば一年中どこかで流行している。このため国際的な人の往来によってウイルスが持ち込まれる機会は常にあるとされる。
厚労省は今回の流行入りを受け、手洗いや、マスク着用を含むせきエチケットなど基本的な感染対策を呼びかけている。特に高齢者や基礎疾患のある人は感染すると重症化するリスクが高いとして、医療機関や高齢者施設を訪れる際などのマスク着用を勧めている。
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