
日本政府の支援を前提に
ソニーグループ(G)と半導体受託生産世界最大手のTSMC(台湾積体電路製造)が、2029年に次世代画像センサーの量産を始める。日本政府の補助金を受けることを前提に、ソニーGが約4650億円、TSMCが約2820億円の合計7470億円を出資する方針だ。
両社は熊本県合志市を拠点とする合弁会社を設立。ソニーがすでに投資済みの合志市にある新工場で、スマートフォン向けイメージセンサーの量産を行う方針。今後は自動運転車向けやAI(人工知能)でロボットなどを自律的に動かす「フィジカルAI」向けの需要も見込んでいる。
2026年度第1四半期の業績記者会見で、ソニーG執行役CFOの陶琳(タオ・リン)氏は「世界最高水準の半導体プロセス技術を持つTSMCとの提携を通じて、モバイルセンサーに加えて、フィジカルAI領域などでの需要増を確実に取り込むことで、イメージセンサー市場におけるNo.1ポジションをより強固なものにしていきたい」と話した。
今年5月に、創業80周年の節目を迎えたソニーG。26年3月期の連結売上高は12兆4796億円。このうち、同社がここ数年注力するゲーム、音楽、映画などのコンテンツ事業が約3分の2を占める。
一方、かつての主力事業だったテレビ事業は3月に中国TCLグループと設立する合弁会社へ移管し、実質的な〝売却〟を決断。ホンダと共同で進めていた電気自動車(EV)の開発・生産も中止した。
従来のエレクトロニクスを中心とした会社からIP(知的財産)で稼ぐ体制へと変革を進めるソニーGだが、モノづくりの牙城として残っているのが半導体。スマホの〝眼〟の役目を果たす同社のイメージセンサーは世界シェア50%を超えており、同事業は売上高2兆1515億円を稼ぎ出す重要な存在だ。
ただ、近年は韓国サムスン電子や中国勢などが猛追。世界シェア首位のソニーも投資を緩めた瞬間に追い抜かれる可能性はある。高市早苗政権が戦略17分野の柱に位置付ける半導体。政府の後押しを受けて、ソニーGは自らのポジションを強固なものにすることはできるか。