両備ホールディングス傘下の両備システムズは8月25日、ICT事業の進捗と今後の展望に関する記者説明会を開催した。また、同日には、2024~2026年度の期間で進行中の中期経営計画において目標とする売上高405億円を上回り、2026年度に476億円を達成するとの見込みを発表した。
2030年度に売上高500億円へ、公共・物流・クラウドが成長をけん引
同社では、2030年に売上高500億円を達成し、西日本ナンバーワンのICT企業となることを目指しており、2040年には次期長期ビジョンでは1000億円を計画している。
両備システムズ 代表取締役 上席執行役員 COOの小野田吉孝氏は「本社の岡山県から世界に向けて、西日本ナンバーワンのICT企業をスローガンに掲げ、データセンターやBPO、セキュリティなどを含めITインフラを提供し、国内のみならず世界に向けて発信している」と述べた。
同社では自治体情報システムの標準化対応を担うシンクに加え、投資会社のRyobi AlgoTech Capital、ラオスでソフトウェア開発を手がけるRyobi Laoなどを傘下に持つ。公共、医療、社会保障、民需向け情報サービスのほか、システム構築、データセンター、クラウド、セキュリティなど幅広い事業を展開している。そして、2025年12月にシンガポールにおいて投資会社のRyobi International Investmentを設立し、2026年7月には物流倉庫向けの設備導入や物流コンサルティングを提供するAPTを子会社化した。
小野田氏は、進行中の中期経営計画を上回る売上高の達成見込みについて「2030年の目標値が3年前倒しで進んでいる状況。特に自治体システムの標準化をはじめとした公共分野や、岡山大学と共同で進めている早期胃がん深度AI診断支援システムなどの医療分野、そしてAPTの子会社化で物流分野での施策が功を奏している。クラウド・インフラも成長しており、自治体標準化の需要に対応しつつ、今後は公共DXの拡充とクラウド・セキュリティ基盤の強化へ事業の軸足を移していく」と話す。
自治体システム標準化がピーク、公共DXとクラウド・インフラを強化
全社における22026年度の売上高は前年比20.3%増の476億円を見込む。このうち公共分野は同5.4%増の350億円、民需分野は同15.6%増の126億円となる見通しだ。また、公共・民需の双方にまたがるクラウド・インフラ分野では、同13.8%増の140億円を見込む。
公共分野の要である自治体システム標準化は、2026年度にピークを迎えるものの同年度以降は保守が継続的に寄与するという。シェアNo.1の健康管理システム「健康かるて」は909団体、債権一元管理型滞納管理システム「THINK CreMaS Cloud」は759団体に導入が決定している。福祉も含めて1875環境への導入を予定し、うち1539環境に導入済みであり、進捗率は82%となっている。
今後は、国の重点政策と連動した公共DX事業の拡大に加え、生成AIを活用した実証実験の成果の商品化や、同社の強みを生かしたサービスの拡充によるシェア拡大に取り組む。具体的にはこどもに関するデータ連携プラットフォーム「こどもの杜」や「R-STAGE 窓口DXサービス」、札幌市における生成AIの実証実験を活かしたサービス提供などを進めていく。
クラウド・インフラ分野ではデータセンター事業の売上高は前年比23.5%増を見込んでおり、自治体向けガバメントクラウドの構築は2024年度から約300件を構築している。民間企業向けクラウドの売上高は同30%増を見込み、前中期経営計画から1.5倍に成長する見込みだ。また、2026年7月にはサプライチェーンのセキュリティ強化を支援する「SCS評価制度対応アセスメントサービス」の提供を開始している。
APT完全子会社化で物流DXを強化、2030年度にSCM事業100億円へ
民需分野については両備システムズ 執行役員の橋本渉氏、APT 代表取締役社長の井上良太氏が説明した。同社における民需分野のポートフォリオは、ファッション・アパレル向け基幹パッケージ「Sunny-Side」、バスロケーションサービス「Bus-Vision@バスロケ」、生産・販売管理「Info-Gear」、クラウド型会員管理システム「ATOMS for U」、酪農組合向けシステム「RAKUNOWA」、貸切バス受発注プラットフォーム「mobitas」、高速バス乗り継ぎプラットフォーム「コモネビ」などを揃えている。
そして、今回の説明会で重点的に説明されたのがAPTの子会社化により、強化された物流関連のサービスだ。これまで、両備システムズではバース在庫検知システム「R-LOGI for Parking」、バース入退場管理システム「R-LOGI for Truck Berth」、倉庫管理システム(WMS)「R-LOGI for WMS」、AIカウントツールを提供している。これらの製品・サービス群にAPTが持つ人と設備の作業調整を行う倉庫実行システム(WES)と、自動設備を制御する倉庫制御システム(WCS)が加わることになる。
橋本氏はAPTが参画することに関して「両備システムズの基幹システムやWMS、バース管理システムにAPTのWES、WCS、両備グループ全体の輸配送、設備製作・保守、倉庫建設・不動産、倉庫運営を掛け合わせたシナジーが発揮できると考えている。これまでは物流DXを支援する企業を掲げていたが、SCM(サプライチェーンマネジメント)全体を支援するSCMプラットフォーム企業を目指す」と意気込みを示した。
一方、「TUNAGERU INTEGRATION - 倉庫の明るい未来を創る」をコンセプトに掲げる、APTの井上氏は「子会社化により、物流全体の管理や倉庫内における自動化・最適化、物流機器の設置・導入までワンストップ提供できる体制を構築することは、強力な競争優位性を持てるのではないかと感じている」と述べている。
今後、APTの物流現場における知見と両備システムズのIT・AIを融合させ、物流DXを実現するハイブリッド人材を育成し、2030年にAPT単体の売上高を2026年比126%増の68億円、SCM事業全体では100億円を目指す考えだ。
現在、同社では2027年1月の公表に向けて、4カ年の次期中期経営計画の策定を進めており、小野田氏は「売上高500億円を超える高い目標を設定している。事業モデルを単なるパッケージの提供からAIなどを活用して、顧客に寄り添う伴走型のビジネスモデルへの転換を図る」と力を込めていた。








