太古の空気が閉じ込められ、地球の気候変動などを読み解く「タイムカプセル」としていつもは国立極地研究所が低温室で厳重に保管している貴重なサンプル、アイスコア(柱状の氷サンプル)。約20年ぶりに、日本科学未来館(東京・お台場)で開催中の「大南極展」で9月27日まで一般公開されている。同じ南極の氷でも、別の場所に展示してある氷にはたくさんの気泡があり、白く見える。だが、アイスコアに気泡は見当たらない。分析のために切り出し、半分欠けた部分は特に透明だ。

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    約20年ぶりに一般公開中のアイスコア。長さは50センチで1996年12月7日のもの。左側が上で深さ2498.91メートル、右側が下で2499.41メートルとある(日本科学未来館)

なぜ透明なのか。老舗製氷メーカーの小野田商店(東京都北区)によると、不純物や空気があると氷は白くなってしまう。透明な氷をつくるためには、同商店では水を攪拌しながら、不純物の多い部分を純水と入れ替え、間接的に60時間以上冷やす。広報課の坂井渉さんは、「アイスコアは雪が積み重なってできていて空気を含むというのに、写真の氷はすごく透明に見えます」と不思議がる。

空気が含まれたら氷は白くなるのではなかったか。国立極地研究所によると、透明に見えるのは、アイスコアの深い部分では、空気はクラスレート・ハイドレート(水分子がカゴ状に空気分子をとり囲んでいる固体結晶)という透明な結晶となって氷の中に存在しているからという。

展示されている国立極地研究所所蔵の「ドームふじアイスコア」は2499メートルから掘削され、約34万年前の情報を含む。大陸に積もった雪が数万年もの時間をかけて押し固められることでできており、透明であっても積雪当時の空気や気温、降水など、地球環境の変化の痕跡などがそのまま閉じ込められている。

大南極展で展示されているアイスコアの先端部分を半分に切っているのは、実際に研究に使用されたサンプルであることの証。分析のために切り出したら、融かしたり削ったりして太古の空気を取り出し、地球の気候変動などを読み解くという。

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