Salesforceは7月15日、Salesforce上のデータ検索や分析、業務アクションを自然言語による会話から実行するAIエージェント「Agentforce Coworker」を発表した。
Salesforceそのものが「AIエージェント」に
「Agentforce Coworker」は、企業内のデータや業務文脈を理解し、必要な情報の提示に加えて、複数のAIエージェントや業務機能を選択・連携させるサービス。
製品事業統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャーの楊莉佳氏は、同サービスについて「Salesforceそのものが『AIエージェント』となり、どこからでも安全に使える体験になった」という表現で紹介した。
「Agentforce Coworkerは、Salesforceに直接組み込まれ、実際に業務が行われるあらゆる場所で動作する『自律型のAIチームメイト』です。これまでの体験では、CRM上のデータのキーワード検索が中心となっていましたが、Agentforce Coworkerを活用することで、人に代わってさまざまなアクションを実行してくれます」(楊氏)
Agentforce Coworkerの3つの特徴
続いて楊氏は、Agentforce Coworkerの特徴として、「導入初日から業務内容を理解する」「人に代わってアクションを実行する」「ヘッドレスファーストでどこでも動作する」という3点を挙げた。
「導入初日から業務内容を理解する」とは、Salesforce上の構造化データに加え、PDF・音声・画像などの非構造化データ、利用者と顧客の関係性、商談や問い合わせの経緯、Slack上の会話履歴などを横断して分析できるという仕組みを示している。
データ同士の関係や業務文脈に基づいて推論し、回答を文章だけでなく、レポート、グラフ、表などの形式でも提示するほか、AIは利用者に設定されたデータアクセス権限に従い、本人が閲覧できないデータを参照して回答することはないという安全性も確保されているという。
「人に代わってアクションを実行する」については、情報を回答するだけでなく、その後の業務処理まで実行するという点がポイントである。
利用者が「問い合わせケースの解決」「顧客へのフォローアップ」「売上予測の更新」などを依頼すると、Agentforce Coworkerが、適切なAgentforceエージェントやCRMアクション、Flow、外部APIを選び、連携して処理することが可能。
処理の実行前には必要な確認を求めるほか、実行内容や結果を記録し、管理者がAIエージェントの活動を監視できるという安全性も兼ね備えている。
「ヘッドレスファーストでどこでも動作する」のポイントは、Salesforceの画面だけでなく、SlackやTeamsなど日常的に利用する業務環境から同じAIエージェントを利用できる点にある。
チャネルが変わっても企業データや会話の文脈、利用者のアクセス権限を維持し、同一の業務を継続できるそうで、具体的には、Salesforce・Slack・Microsoft Teams・ChatGPT・Claudeなどへの対応が可能とのこと。
「Agentforce Coworkerの特徴として、ユーザーが、どのデータソースやAIエージェントを使用すべきかを判断する必要がないという点があります。『この取引先が解約リスクにある理由は何か』『四半期レビューの下書きを作成し、プランを更新して』といった依頼を行うと、Agentforce Coworkerが、Salesforce CRMやSlackを横断して情報を集め、分析とアクションを実行してくれます」(楊氏)
商談準備から見積もり、キャンペーン作成までをデモ
説明会では、営業担当者による利用シナリオを通じて、Agentforce Coworkerの活用イメージが紹介された。
デモでは、商談前の営業担当者がAgentforce Coworkerに顧客情報の整理を依頼すると、Salesforce CRMとSlack上の情報を横断して企業概要や商談状況、直近のやり取りなどを数十秒で要約。また、商談資料の作成を依頼すると、適切なAIエージェントを自動的に選択し、Slack Canvas上に商談準備用の文書を生成する様子が示された。
このほか、カスタマーサービス部門では問い合わせ分析やケースのエスカレーション、顧客向け回答の作成、マーケティング部門では対象顧客の抽出や接点履歴の要約、キャンペーンへの追加などを、自然言語での対話を通じて実行できることも紹介された。
Agentforce Coworkerを共通の業務窓口として配置
現在、Agentforce Coworkerはベータ版として提供されている。今後はWeb検索やMCP(Model Context Protocol)、サードパーティー製AIエージェントとの連携、プロアクティブなアクションなどへの対応を予定する。
また管理者向けには、AIエージェントのアクセス範囲やアクションの管理、活動ログの監査、利用状況やコストの可視化などの機能を提供する計画だ。同社は、企業が既存のアクセス権限やセキュリティ、ガバナンスを維持したままAIを活用できる環境を整備し、Agentforce Coworkerを企業内の共通の業務窓口として展開していく方針を示した。
説明会では「AIエージェントの利便性を高めるだけでなく、企業が既存のアクセス権限、セキュリティ、ガバナンスの範囲内でAIを活用できる点を重視している」という点が強調された。今後は、Agentforce Coworkerを共通の業務窓口として配置し、人と複数のAIエージェントが連携して、情報の検索・分析から実際の業務処理までを進める環境の提供を目指していく方針だ。





