
米欧の金融政策には注意が必要
「経済・物価・金融情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」─こう話すのは日本銀行副総裁の内田眞一氏。
2026年6月16日、日銀は金融政策決定会合を行い、政策金利を引き上げ1%とすることを決めた。政策金利は31年ぶりの高水準となった。
総裁の植田和男氏は感染症の治療で入院中のため欠席、それ以外の政策委員8人のうち7人が賛成、浅田統一郎氏(中央大学名誉教授)が金利据え置きを主張して反対票を投じた。
今回の日銀の利上げには物価高を抑制する狙いがある。足元では落ち着いているものの、原油価格がイラン問題など中東情勢を受けて上昇し、その影響で物価高が続いている。
内田氏は「企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり、これが今後、消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性がある」と話す。
もう1つ、物価高に関しては輸入物価を押し上げる要因となっている円安があるが、これは日銀が利上げをした後も160円前後という円安水準が続く。
「利上げ後も円安は止まっていない。引き続き利上げをアナウンスすれば為替にも効いてくるかもしれないので、利上げの意味がなかったというのは酷かもしれないが、足元ではプラスの効果は出ていない」と指摘するのは、第一ライフ資産運用経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏。
株価も利上げには全く反応しなかったが、一方で米国、欧州の中央銀行の政策次第で、日銀の利上げが株価や為替に影響を及ぼす可能性もあるので、少し長期の目線で影響を見た方がいいとも指摘。
次の利上げがあるとすれば12月が予想されるが「円安進行次第」(熊野氏)。為替介入でも効かなかった時には、夏から秋にかけての利上げも視野に入る。
株式市場はスペースXの上場に沸いており、アンソロピックの上場も控えるが「これらの大型IPOを受け止めるマネーの総量はない。マネーが吸い取られて意図せざる引き締め効果が出ることを警戒している」(同)。
株価上昇とは裏腹に警戒を強めるべき局面といえる。