OpenAIは6月8日、IPO(新規株式公開)に向けた準備の一環として、機密扱いのS-1書類(登録届出書)を提出したと発表した。同社によると、いずれ情報が漏れる可能性が高いことから、今回あえて公表に踏み切ったという。
上場までには時間を要する可能性も
IPOの具体的な時期については現時点で未定。OpenAIは、依然として非公開企業として取り組みやすい施策もあると説明しており、上場までには時間を要する可能性も示唆している。
IPOを巡る判断は複数の要素が絡む複雑なトレードオフであるとしつつ、状況に応じて早期に株式公開へ踏み切る選択肢も確保した形だ。
今回の発表は、1933年証券法(改正を含む)に基づく「ルール135」に従って行われたもの。有価証券の売却の申し出や購入の勧誘を目的とするものではなく、今後IPOに関連する有価証券の販売や勧誘が実施される場合には、同法の登録要件に従って行われるとしている。
AIの将来像と同社の基本方針も公表
一方、OpenAIは同日にAIの将来像と同社の基本方針をまとめた文書「Built to benefit everyone: our plan(すべての人に利益をもたらすための計画)」を公表。AIを電力の普及に見立て、社会的インパクトと活用の在り方について説明している。
新たな基盤技術は即座にすべてを変えるわけではないが、アクセスが広がるにつれて生活や経済の在り方を大きく変えてきたと指摘。AIも同様に、単なる技術そのものではなく、「人々がそれを使って何を実現できるか」が本質だと強調している。
具体的には、AIは医療費の理解やスキル習得、起業、高齢者のケア、法的・財務的判断の支援、アイデアの実現や科学的発見など、人々の幅広い活動を後押しする可能性があるという。
同社は、AIの恩恵は特定の企業や政府、一部の個人に集中するべきではなく、「必要な人が、必要な形で使える」形で広く提供されるべきだと主張する。技術は権力の集中を招く可能性もある一方で、機会を拡大する方向にも働き得るとし、同社は後者を重視する立場とのことだ。
こうした考えに基づき、同社は「AIは人々のために機能するべきだ」と位置付ける。すなわち、人間の能力を高め、それぞれの目標達成を支援し、その恩恵を可能な限り広く分配することを目指すとしている。
さらに、強力なAIの開発においては安全性や社会的影響への配慮が不可欠であり、将来的なリスクに対応するための制度や協調的な取り組みの重要性にも言及。技術の進展は自動的に望ましい結果をもたらすものではなく、どのように設計し、普及させるかが重要になるという。
最終的に同社は、目指すべきAIの未来は「少数の主体が能力や利益を独占するものではない」とし、より多くの人や企業、コミュニティがAIの構築と利用に参加できるエコシステムの実現を掲げている。