
本業一筋に徹底してこそ…
理事長に就任(2005年)してからも現場を大事にする人だった。
「広島県内の中小零細企業のために我々の存在意義はある。メガバンクや広島銀行の取引先と比べて中小零細企業の財務内容は悪いです。ハッキリ言ってリスクは高いです。けれども、そういう中小零細企業をどういう金融機関が対応していくのかということ。もし、我々などの地域金融機関がなければ、中小零細企業は終わりなんです」。この山本さんの言葉に広島市信用組合の基本軸が示されている。
山本さんは『本当によく働く人』だった。午前3時半に起床、そして5時に出社という毎日。毎朝7時から役員会議を開催(役員は6時45分に出社)。一般職員は午前8時20分に出社し、午後5時20分に退社するという勤務。午前3時半の起床では睡眠不足にならないのかと心配になるが、「寝るのは夜の午後9時から午後10時の間ですから充分です」という返事。
取引先を大事にする経営者で、理事長の間も1日に5軒、多いときは10軒の取引先を回っていた。
「『こんにちは、シシンヨーの山本です』という理事長の明るい声にずいぶん励まされたものです」と多くの顧客の経営者たちが口をそろえる。日々、多くの中小零細の経営者と顔を合わせながらも、夜の会合は理事長就任以来、一切なし。これも取引先との関係をあくまでもフェアに、オープンにしておきたいという理由からであった。
日本が金利のつく世界になって金融を取り巻く環境も変化。中小零細企業も厳しい環境に置かれるようになったが、「そうした企業の相談に乗るのが自分たちの務め」と終始、経営の軸はブレずにきた。同信組は現場主義に加えて、本業一筋に徹してきた。投資信託や生命保険などの金融商品は扱わず、山本さんは「絶対に基本軸をブラさずにやっていく。あくまでも本業の預金・貸金に特化した経営ということです」という姿勢を貫いてきた。
そして、「融資の判断は3日以内にやります」という姿勢。スピード感のある経営である。
それには普段の顧客との対話が不可欠。1日に5~10軒の顧客の経営者と対話をし、フェイス・トゥ・フェイスで話を詰めてきたし、そういうところで「よそには負けないし、他の金融機関と差別化しているのもそこです」というメッセージ。
山口県宇部市出身。県立宇部高校では野球をし、大の野球好き。地元球団・広島カープの熱烈なファンでもあり、「シシンヨースポンサードゲーム」では、力強く始球式を務めてもいた。世のため、人のために熱投する経営者であった。合掌。