「既存の枠組みに留まっていては成長できない」宅配クリーニングを始める東京ガスの市場掘り起こし策

顧客との定期的な接点を持つことのできるサービス

 

 東京ガスが衣類や布団の宅配クリーニング・サービスを始めた。北海道と沖縄を除く全国が対象で、同社のガスや電気を契約していない人でも利用できる、新たな家事支援サービスだ。 

 利用者はスマートフォンで24時間いつでも簡単に注文でき、指定日に配送員が自宅へ集荷。クリーニング後も自宅まで届けてくれるため、クリーニング店に並ぶ時間や手間を省くことができる。だが、なぜ、都市ガス最大手の東京ガスが宅配クリーニングを始めるのか? 

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「これまで当社はガスと電気を供給するエネルギー会社として歩んできたが、それだけではお客様の課題解決には不十分。もっと高頻度にお客様との接点を持つことのできる商材はないかと考えてきた中で、仕事と家庭の両立に悩む40歳前後の女性たちが頼みたいと思えるような商材をつくりたいと考えた」 

 東京ガス 設備ソリューション開発部 暮らし最適化ソリューショングループ マネージャーの望月紳氏はこう語る。 

 東京ガスは、2021年5月からハウスクリーニング事業を開始している。エアコンの洗浄や浴室・キッチンなどの水回りの清掃が中心で、利用件数は年間約6万7千件。23年10月からはウォーターサーバーのレンタルも始まり、ガスと電気だけではないサービスを増やしてきた。今回の宅配クリーニングもその一環だ。 

 例えば、一般的な住宅設備の機器交換では、修理・交換など、10年に一度くらいしか顧客と接点を持つことができない。もっと顧客との接点を増やすためにどうすればいいかを考えていた中で、衣類のクリーニングであれば、衣替えの季節など、顧客との定期的な接点を持つことができると判断した。 

「共働きの家庭が増えていて、子育てや親の介護などに追われ、毎日、時間に余裕がない人が増えている。こうした方々のお困りごとを解決するにはどうしたらいいかというのが発想の始まり。忙しい人に〝時間〟という価値を提供したい」(望月氏) 

 実はこれらハウスクリーニング事業全般に言えることだが、こうした新規事業の開発には、実際に子育て中の社員の意見が多く反映されている。時間がない中で働いている人が考えた方が、よりリアルな悩みを理解できるからだ。特に、女性目線は重要だ。 

 例えば、エアコン洗浄には作業に数時間かかるが、自宅で見ず知らずの男性と何時間も過ごすことに抵抗を感じる女性が多い。また、今回の宅配クリーニングには最大11カ月間保管してくれるサービスもあるのだが、これは収納に関する悩みを抱えた方が多いことに気づき、応えようとしたものである。 

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