
環境への負荷が小さい次世代エネルギーとして水素の活用に向けた議論が進んでいる。
経済産業省は、2024年に水素社会推進法が施行されたことを受け、天然ガスなど既存の化石燃料との価格差を埋める支援制度などを実施。日本成長戦略会議(議長・高市早苗首相)の戦略分野には、重点投資先としてペロブスカイト太陽電池などと共に水素が選ばれ、官民投資のロードマップづくりに向けて資源エネルギー庁を中心に、関係企業への聞き取りを重ねてきた。
このほど示されたロードマップ案では、50年に水素の関連市場が30~40兆円規模になるとして、ガスタービンから水電解装置、液化水素、燃料電池といったサプライチェーン(供給網)全体で日本が持っている技術優位を商用化につなげることが重要だと指摘。一方、需要創出と価格低減に課題があるとして、講じるべき施策として重点地域での商用車導入やインフラ整備などが盛り込まれた。
同庁幹部は「かつての太陽光パネルのように、技術で勝っていたがビジネスで負けたという『敗戦』の歴史を繰り返してはならない」と強調。GXグループの幹部は「日本は水素の供給網でコアの技術を抑えており、市場をいかに取るかという戦略が重要になる」と語る。
産業界も前向きな姿勢を示しており、自民党の水素社会推進議連に出席したトヨタ自動車の佐藤恒治社長は、日本自動車工業会の会員をはじめ500社超が連携して、幹線物流の水素化を起点として利用拡大を図る「水素大動脈構想」を示した。
一方、FC(燃料電池)トラックの市場投入を計画している商用車メーカー関係者からは「国や与党の熱意は伝わるが、コストが高くなかなか採算が取れないのでどれほど本腰で取り組むか悩ましい」との声も。
議連の会長を務める小渕優子会長は「いろいろ課題は山積している」としつつ、「官民が一緒になって水素社会の推進を頑張りたい」と意気込んでいた。